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授業の概要(ねらい) |
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近代資本主義の成立と発展を第一次大戦まで説明する。近代資本主義はイギリス封建制社会において胎動するが、農村工業の展開が歴史的起点である。半農半工の独立生産者が担い手となり、中世都市の特権的商人やギルド制親方の初期独占をめぐり産業の自由を求めて階級的に対抗する。市民革命が産業の自由の公序としての確立の画期となる。初期資本家層である親方製造業者は議会的重商主義政策の下に成長し、産業革命の途が準備される。産業革命ではその全過程の基礎的動力が綿工業となり、工場制手工業に代わり機械制大工業が支配的となる。綿工業産業資本家は世界市場的展開を希求し、穀物法を撤廃させてイギリス経済を世界の工場にする。反面、産業革命は国際的に波及し、そのなかでドイツ、アメリカは重工業傾斜的な工業化を実現していく。これら両国は化学、電機産業が興隆する重化学工業段階でイギリスを凌駕し、ポンド体制の全面開花のなかで資本主義の構造的不均衡は深まる。ドイツ問題は際立った。
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授業の到達目標 |
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産業の自由の公序としての確立、重商主義政策の展開とイギリス商業革命、産業革命のイギリス的特質と国際的波及、欧米における鉄道建設ブームとその一巡による大不況の発生、化学、電機産業の興隆とヨーロッパ型重化学工業化、ドイツ、アメリカを産業的起動力とするなかでのポンド体制の全面開花、ポンド体制下のドイツ問題と第一次大戦といった資本主義の発展を理解してもらう。
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成績評価の方法および基準 |
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授業への参加度と試験による評価。
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教科書・参考書 |
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テキストは用いない。参考文献は講義のなかで適宜紹介する。
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準備学修の内容 |
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講義では毎回レジュメを配布します。講義を聴いて疑問に思うことやレジュメで自らに突き刺さる章句はなおざりにせずに自分で調べてください。調べることが探究事始です。
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その他履修上の注意事項 |
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学問を実用性の視点からみれば、経済史は迂遠な授業科目ですが、歴史的展望に立ってわれわれひとりひとりが生きる資本主義社会をみないと物事のリアルな認識が生まれてこないことに留意してください。
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各回の授業内容 |
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| 【第1回】 | | イントロダクション。講義プランを提示すると同時に講義概要を配布します。 | | 【第2回】 | | ヨーマンリーの手厚い分布と親方製造業者の出現 | | 【第3回】 | | 市民革命と産業の自由 | | 【第4回】 | | 議会的重商主義と初期資本主義の発展 | | 【第5回】 | | 重商主義帝国とカリブ海域経済革命 | | 【第6回】 | | イギリス産業革命とその特質 | | 【第7回】 | | 自由貿易論争の展開 | | 【第8回】 | | 穀物法の撤廃と世界の工場イギリス | | 【第9回】 | | 産業革命の国際的波及 | | 【第10回】 | | 大不況の発生と原因 | | 【第11回】 | | 株式会社制度と大型企業体の出現 | | 【第12回】 | | ドイツ経済の躍進 | | 【第13回】 | | 産業の巨人アメリカ経済の躍動 | | 【第14回】 | | ポンド体制の全面開花 | | 【第15回】 | | ポンド体制の協調的側面と対立的側面(ドイツ問題) |
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