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授業の概要(ねらい) |
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我が国の観光形態は近代化の過程を通じて変化してきている。その変化への対応によって、観光地としての盛衰がわかれる。 「愚者は体験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という。我が国の観光地域の変遷をたどることは、単なる「歴史学」の知識ではなく、その中に普遍的な手法を学ぶために行う研究者・プランナーとしての思考のトレーニングにもなる。 本講義では、観光を取り巻く変遷を辿ることで、これまでの我が国の観光地域形成のプロセスや観光行動の変化を学ぶとともに、観光需要の創出と受入(受容)の観点から、現代そしてこれからも活かすべき観光計画の哲学・思考・手法についての考察を試みる。ただし、物事を観る立ち位置は、あくまでも「現場主義」におき、その時代・その地域での「意思決定のプロセス」にイメージを膨らませることに関心を寄せられるような講義とする。いわば観光計画版のプロジェクトX的な講義を展開したい。
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2. |
授業の到達目標 |
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①これまでの観光地での取組みの考え方や手法の内容について体系的に説明することができる。 ②これまでの観光地での取組み手法の内容から、現代的な問題点に対する地域課題・改善手法に適用することができる。 ③観光地での取組み手法に基づき、自らの興味の対象分野に応じて観光研究等に活かすことができる。
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3. |
成績評価の方法および基準 |
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講義の際に実施する小テストが30%、定期試験が70%として評価する。定期試験は、テキスト(提示した参考図書)や配布した講義レジュメ・資料の持ち込みは可。毎回の講義の後の質問に対しても評価の対象とする。
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4. |
教科書・参考書 |
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基本的にはレジュメ・関係する資料に基づいた講義とする。 参考図書、大下茂 著『行ってみたいと!と思わせる「集客まちづくり」の技術』学陽書房
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5. |
準備学修の内容 |
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講義中に関連するインターネットのサイト情報等を提示するので、事後に各回のテーマに関連する学習をすること。また、各回の最後に、次回のテーマを提示するので、事前に関連する内容を予習して講義の臨むこと。
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その他履修上の注意事項 |
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秋学期には「観光計画の技法編」をテーマとした講義を予定している。その背景となる春学期の講義は基礎的知識・情報として大切であるので、大きな流れを習得・理解されることを期待する。また、秋学期の講義と併せて「観光地計画論」が体系化されるため、通年での受講を望みたい。 講義の妨げとなる行為をつつしむこと。特に私語は退席を願い、評価の減点対象となるので留意してほしい。社会で求められる人材は、問題解決できるスキルよりも、問題発見のできる人材であることから、問題意識をもつ受講者の質問は歓迎する。
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7. |
各回の授業内容 |
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【第1回】 | 授業の全体構成の解説 | 【第2回】 | 人口増加が期待できない時代の地域づくりとは~集散往来による地域活力の向上 | 【第3回】 | 江戸中期の観光政策~都市近郊の行楽地づくりとシステム化 | 【第4回】 | 明治期における観光~外国人の目に映る我が国観光の特徴・資源 | 【第5回】 | 近代化の現れ・博覧会~博覧会は技術開発・システムの試行(敢行)のチャンス | 【第6回】 | 描かれた近代日本の風景・鉄道と名所 | 【第7回】 | 戦前の国際観光政策と名所・国立公園 | 【第8回】 | 戦災復興と観光~観光は国土復興の救世主・総合力としての観光 | 【第9回】 | 中間取りまとめ(小テスト)・全国総合開発計画とは・・・ | 【第10回】 | マスツーリズム観光と回遊型観光~全総時代の観光 | 【第11回】 | 大規模開発レクリエーション基地~新全総時代の観光 | 【第12回】 | 地方の時代と集客型の地域づくり~三全総時代の観光 | 【第13回】 | リゾートと観光~四全総時代の観光 | 【第14回】 | 地域創発時代の着地型観光商品の時代~テーマ・プログラム・組織体 | 【第15回】 | 総括~これからの観光・観光まちづくり・地域づくりの行方/期末試験 |
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