Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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国際公法C 喜多 康夫
選択  2単位
【法律】 17-1-1210-0175-25A

1. 授業の概要(ねらい)

 新聞やテレビなどの報道機関の影響のせいか、各国政府の動向などの国際政治が着目される傾向が世間にはあるかと思います。そのためか、国際法についてよく理解されていなかったり、逆に誤解されることも多いかと思います。例えば、武力紛争が起こるたびに「国際法は死んだ」とか、「国際法は役に立たない」などと言われますが、このような発言は、国際法が国際関係において現実に果たしている役割を正しく理解しているとはいえません。平時であろうと戦時であろうと、主権国家の関係を規律するのが国際法の役割であって、それを理解することが重要です。
 本講義の目的は、2つあります。第一の目的は、上記で指摘した国際法が実際に果たしている役割を学生諸君に知ってもらうことです。本講義では、国家領域や海洋などの空間に関する国際法を説明します。第二の目的は、国際法を通して、学生諸君のリーガル・マインドの育成にあります。そのため、判例解説に重点をおきたいと思います。

2.
授業の到達目標

 ①国際法の基本知識をさらに発展させ、国際法秩序の全体像を理解できる。
 ②リーガルマインドを成長させることができる。

3.
成績評価の方法および基準

 成績評価については授業貢献(50%)とLMS試験(50%)に基づいて行いますが、授業に規定数以上参加しない限り、単位は取得できません。
 また、LMSは宇都宮キャンパスのLT開発室が管理しているe-learningシステムです。このシステムには授業で使用したパワーポイントファイルをアップロードします。また、このシステムで試験を実施します。
 LMSを使用するには学内LANのパスワードが必要です。学内LANのパスワードを取得していない学生及びパスワードを忘れてしまったという学生は、8号館1階の情報処理センターで、できる限り早くその手続きを行ってください。

4.
教科書・参考書

 レジュメで講義を行いますが、条約集は必須です。なお、条約集は年度初めにその年度のものが出版されるので、後日にお知らせします。
 自習用の初級参考文献としては以下のものを薦めておきます。
 渡部 茂己・喜多 義人(編)『国際法 第2版(Next教科書シリーズ)』(弘文堂、2014年)、2,376円(税込)。
 杉原高嶺『基本国際法 第2版』(有斐閣、2014年)、2,268円(税込)
 授業でも使う判例集として、以下のものを薦めておきます。
 杉原高嶺・酒井啓亘(編)『国際法基本判例 50(第2版)』(三省堂、2014年)、2,376円(税込)。

5.
準備学修の内容

 LMSによる予習と復習を行うことができれば、と思います。実施する場合には、詳細はオリエンテーションのときに説明します。

6.
その他履修上の注意事項

 【関連科目】国際法の授業は全体として「国際法(歴史・法源)」、「国際法(主体)」、空間の規律に関する「国際法(空間)」及び国際法秩序の維持に関わる「国際法(秩序維持)」から構成されており、国際法の全体像を理解するためには、上記科目を履修することが望ましいと考えます。また、さらに国際法の専門分野として、「国際組織法I/II」「国際人権法」「国際安全保障法」「国際経済法I/II」「国際紛争処理法I/II」「国際刑事法I/II」などがあり、より深く勉強できるようになっています。
 【学生へのメッセージ】本学ではセメスター制を採用しているので、「国際法(空間)」だけを受講するのは確かに可能ですが、この授業だけ履修しても授業内容が理解できないと思います。そこで、昨年度に「国際法(歴史・法源)」「国際法(主体)」を履修していない学生は、できれば「国際法(歴史・法源)」と「国際法(主体)」も履修しながら、本講義を受講していただきたいと思います。やる気のある学生をお待ちしています。
 また第1回目のオリエンテーションで、授業のスケジュールと単位の取得方法などを説明するので、必ず出席するようにしてください。
 質問のある学生は、yaskita@main.teikyo-u.ac.jpにまでメールを送ってください。なお、その場合は表題に「・・・の件」とした上で、氏名及び学籍番号と用件の内容をメール本文に記して送ってください。匿名メールはスパムとして取り扱います。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 オリエンテーション
【第2回】
 01.領域権原(1):領域権原の概念と原初的権原
【第3回】
 02.領域権原(2):承継的権原と国境紛争
【第4回】
 03.日本の領土
【第5回】
 04.海洋の構造(1):領水
【第6回】
 05.海洋の構造(2):管轄海域
【第7回】
 06.海洋境界画定
【第8回】
 LMS講習会
【第9回】
 07.海洋生物資源管理
【第10回】
 08.船舶の通行権
【第11回】
 09.海上警察権
【第12回】
 10.海洋汚染問題
 11.海洋調査
【第13回】
 12.空域と国際航空法
【第14回】
 13.国際化区域
【第15回】
 14.国際機構による領域管理・LMS試験