Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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憲法特講A 金澤  誠
選択  2単位
【法律】 17-1-1210-1952-23A

1. 授業の概要(ねらい)

 ミシュラン・ガイドにも掲載された「高尾山」に登ろうとする場合、いくつかの方法がある。ケーブルカーやリフトだけでなく、徒歩でも登ることができる!自分の体力を踏まえつつ、高尾山に「何を」求めるかによって、道が異なってくるだろう。そこには、ひとそれぞれの「選択」がある。
 憲法特講Ⅰを履修する学生は、憲法ⅠⅡを履修を終えたばかりの学生であろうか?高尾山でいえば、ケーブルカー「高尾山駅」で降りたあたりの、あのちょうど眺めがよくて、遠くに大学が見える場所だ。ここまでケーブルカーを使って、「楽に」やってきたひと、1号路で談話しながら来たひと、体力の限界というひともいるはずである(但し、稲荷山コースは想定していない)。
 この講義は、そんな「中腹」にいる皆さんに、高尾山の魅力をより伝えようというものだ!ブラタモリでもやっていたように、高尾山にはまだ普段私たちが気づかない多くの魅力がある。男坂、女坂、山頂からの富士山、薬王院や団子もいいけれど、それ以外の姿を知ってみたいとは思わないだろうか?
 憲法という科目のゴールも、ひとによってそれぞれである。1)一般常識を求めるもの、2)公務員試験、各種国家試験対策のもの、3)司法試験を目指すもの、4)憲法そのものを研究したいもの。
 皆さんには、これらゴールを「自ら」決めて勉強する「資格」がある。「うるさい」ガイドの話を少しだけ聞いてみると、より世界が広がるかもしれない。目の前の森林や植物に惹かれてもよいし、山梨県や富士山を目指してもよい。やっぱり団子や蕎麦というのも否定はしない。でも、今ならまだ(人生の?)岐路(転轍機)の直前だ。皆さんに共通する「第一歩」の手助けをしたいというのが、この講義である。
 最後にひとつ。うっかり「滑落」して、救急隊と一緒に下山するひとが毎年出ている。高尾山(授業)を馬鹿にしないように、心だけはまじめに……

2.
授業の到達目標

 ①憲法の分野における、高度な知識を獲得することができる。
 ②講義でとりあげた複数の憲法判例の内容を、両当事者の主張を踏まえつつ、説明することができる(社会には、いろいろな意見があることを認識できる)。
 ③新聞や法律雑誌、さらには、ツイッター(?)などで、日々議論されている、法律問題について、法的根拠を挙げながら、批判もしくは受容できる(昨日の自分より、ほんの少しだけ新聞記事を読めるようになった気になる。世の中の怪しい(?)評論家に対して、軽いコメント【ツッコミ?】をいれられるようになる)。

3.
成績評価の方法および基準

 試験による評価が原則です(60%)。論述式の問題が多くなります。講義中の発言と小レポート(20%)、中間テストによる評価(20%)もあります。

4.
教科書・参考書

 教科書として、大島義則『憲法の地図--条文と判例から学ぶ--』(法律文化社・2016年)を指定します。参考文献として、1年生の時に使用した憲法の教科書等があればよいと思います。たとえば、中村睦男編『はじめての憲法学(第3版)』(三省堂・2015年)、高橋和之編『新・判例ハンドブック 憲法』(日本評論社・2012年)、芦部信喜『憲法(高橋和之補訂)(第6版)』(岩波書店・2015年)、長谷部恭男・石川健治・宍戸常寿編 『憲法判例百選I II(第6版)』(有斐閣・2013年)など。

5.
準備学修の内容

 資料を配布した場合には、それをメモを取りながら読んでくる必要があります。文献ないし判決を要約したうえで、論点を提示しながら自己の見解を提示できるようになりましょう。人数にもよりますが、授業中の双方向コミュニケーションを重視します。この講義は、判例や文献(の原文)を読むという積極的な作業をおこないます。そうしたことに興味ある好奇心のある学生さんの受講を歓迎します。

6.
その他履修上の注意事項

 ①難しくいえば、社会生じている法的現象に興味を持つことが求められます。人権に関する、最新の判例を扱うこともあります。テレビや新聞などでよく報道されています。それを自分で発見することが重要です。
 ②軽くいえば、ケンポーに関する知識は、最低限度のもので構いません。それよりも、想像力(妄想力?)をもって、実際にいろいろな紛争を見ていく姿勢が何よりも重要です。なお、「イベントde投票」という機能を使って、携帯やスマホを使った、クイズ大会をおこなったことがあります。
 ③高尾山ですので、滑落には注意してください。何号路を選ぶかは、基本的には自由です。山頂でその成果をお聞きします。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 高尾山口駅(本当にのぼりますか?温泉にしますか?自由の保障、ガイダンス)
【第2回】
 山ろく駅(地図の配布・憲法とはどんな文書か?)
【第3回】
 圏央道(動物の権利、植物の権利、多様性って?人間の権利、憲法13条)
【第4回】
 峠の茶屋(何を食べるかは、プライバシーの問題。GPSって?)
【第5回】
 薬王院(お寺なの?神社なの?宗教って?信じる自由)
【第6回】
 さる園(あなた、あの猿に似てるねって、ヘイトスピーチ?)
【第7回】
 森林・植物(理解が難しい、森林法違憲判決?)
【第8回】
 男坂(逆差別って何?女子専用ラウンジって?)
【第9回】
 女坂(夫婦同姓強制合憲判決。女子もつらいよ。ジェンダーって)
【第10回】
 お団子(必要最低限度の生活や休息って?)
【第11回】
 蕎麦(あなたの「そば」で歌いたくないの……)
【第12回】
 山頂で富士山が見えたら(富士山って誰のもの?国のもの?愛する自由って?)
【第13回】
 大垂水峠(難解な峠で、公務員試験の過去問を眺めてみよう~)
【第14回】
 陣場山(さらに上昇、司法試験の問題・学術論文を見てみよう!)
【第15回】
 山梨県・富士山へ(まとめにかえて・到達度の確認)