Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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医事法B 小谷 昌子
選択  2単位
【法律】 17-1-1210-3227-28A

1. 授業の概要(ねらい)

 私たちのほとんどが、生まれてから死ぬまでの間に医療に何らかの関わりを持つ。たとえば、出生の時は医師や助産師にとりあげてもらう人が多いだろうし、病気になったり怪我をしたりして医師の診察を受けたことがある人もいるだろう。
 医事法Ⅱではこのような医療の現場において事故が発生し患者に何らかの被害が発生した場合に、法がいかなる取扱いをするのかにつき、裁判例など、具体的なケースをもとに考えていく。中心的には、医療事故訴訟における様々な問題を取扱う。また、このような医療事故を未然に防ぐためにどのような取り組みがありうるのかについても、言及する。
 (なお、本来医療に関する法律問題は既存のさまざまの法領域にわたるものですが、民事の分野にやや偏った授業となることをお断わりしておきます。また、便宜上「Ⅱ」とナンバリングされていますが、「医事法Ⅰ」との連続性はありません)

2.
授業の到達目標

 ①本科目は、医療分野において近年生じている法律問題について主に法学的な視点から学ぶ、やや発展的な法律科目である。
 ②「医事法」は「医療に関する法律問題とそれを考究する学問を総称する語」(唄孝一)と説明されることがある。したがって、単純に法律の規定、判例などを覚えることは目的ではない。期末試験においてもレジュメ持込み可ではあるが、レジュメの内容をまとめるだけでなく、自らの考えを根拠をもって書くことを求める(これができていない場合には単位を認めない)。

3.
成績評価の方法および基準

 期末試験(※書籍類、六法、自筆ノート、配布資料持込み可)による。
 小レポート・小テストや出席それ自体による加点は行わない。

4.
教科書・参考書

 教科書(甲斐克則=手嶋豊編『医事法判例百選〔第2版〕』、有斐閣、2014年)、および、配布するレジュメを参照して授業を進める。
 その他の参考文献については、授業中などに指示することがあるが、さしあたり以下の文献を挙げる。
 甲斐克則編『ブリッジブック医事法』(信山社、2008年)
 米村滋人『医事法講義』(日本評論社、2016年)

5.
準備学修の内容

 第1回目の授業の際に注意事項を述べます。(欠席した際の配布資料の取得方法についても説明するので、2回目以降授業を欠席する可能性のある学生は必ず出席すること)
 なお、本科目は出席による加点は行わないが、出席しない場合にはそれ相応の自習をすることを求める。「出席による加点を行わない」ということは、「出席しなくても単位がとれる」ことを意味しないので注意すること。

6.
その他履修上の注意事項

 ・「2.授業の到達目標(Course Objectives)」をよく読んだうえで受講すること。また、本科目は前期開講科目の「医事法Ⅰ・A」と内容的には連続していません。
 ・また、本科目は法学系の科目の中でも発展的な科目として位置づけられる科目です。したがって、この授業を履修する前に民法(とくに不法行為法)および、民事訴訟法、刑法などのコア(基幹)科目を既に受講していないとわかりにくい場合があります。
 ・第1回目の授業の際に注意事項を述べます。
  (欠席した際の配布資料の取得方法についても説明するので、2回目以降授業を欠席する可能性のある学生は必ず出席すること)

7.
各回の授業内容
【第1回】
 ガイダンス・イントロダクション
【第2回】
 医療事故に関する法的責任(概論)
【第3回】
 医療事故にまつわる民事責任
【第4回】
 医療事故訴訟(1)過失:輸血梅毒事件
【第5回】
 医療事故訴訟(2)過失:注意義務基準の変遷
【第6回】
 医療事故訴訟(3)過失:乳房温存療法説明義務違反事件
【第7回】
 医療事故訴訟(4)因果関係:ルンバール・ショック事件
【第8回】
 医療事故訴訟(5)因果関係:不作為型因果関係
【第9回】
 医療事故訴訟(6)手続的問題
【第10回】
 医療事故訴訟(7)医療事故と医療従事者の刑事責任①
【第11回】
 医療事故訴訟(8)医療事故と医療従事者の刑事責任①
【第12回】
 医療事故とリスクマネジメント(1)
【第13回】
 医療事故とリスクマネジメント(2)
【第14回】
 まとめ:「医療事故の解決」とはなにか?
【第15回】
 まとめ+試験
 ※授業の進捗状況などに応じて、取り扱うトピックが前後すること、あるいはこれを変更することがある。