Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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刑法各論B 岡田  薫
選択  2単位
【法律】 17-1-1210-3804-06A

1. 授業の概要(ねらい)

 刑法総論の講義で犯罪の一般的成立要件をを学んでいることを前提に、刑法各論では、個別の犯罪類型について、固有の成立要件を扱う。つまり、個々の犯罪の検討であるため、その成立要件を定めた条文(刑法77条~264条、その他の刑罰法規)の解釈が大部分を占める。
 たとえば、199条の「人」とは何か、235条の「財物」と何か、「窃取」とは何か、といった条文上の文理を明らかにする。ここでも、現実に起きている犯罪現象を踏まえて、刑法各論の基礎を春期と秋期に分けて扱う。
 秋期は、財産に対する罪から、社会的法益に対する罪の一部、国家的法益に対する罪の全般を扱う。

2.
授業の到達目標

 ①具体的事例を念頭に置き、刑法各論の基本概念を身につける。
 ②現実に起きている事件には、必ず罪名が付く。各犯罪の具体的な内容や成立要件を、判例の考え方を中心に理解する。

3.
成績評価の方法および基準

 筆記試験(約75%)及び出席状況・授業態度・教授の質問に対する応答状況等(約25%)。

4.
教科書・参考書

 テキスト
  山口厚『刑法』(最新版)有斐閣
 参考文献
  西田典之・山口厚・佐伯仁志『判例刑法各論』有斐閣、又は山口厚・佐伯仁志編『刑法判例百選Ⅱ各論』有斐閣
  岡田薫『捜査指揮』角川文庫

5.
準備学修の内容

 テキストは、刑法総論と各論が一冊にまとめられ、一流の先生が分かりやすく書いた密度の高いものなので、次回の授業範囲を読んで専門用語の意味等を理解しておくとともに、刑法の関係条文を確認しておいてください。
 原則として毎回、レジュメを配布します。レジュメは、『判例刑法各論』『刑法判例百選Ⅱ各論』の関係番号もいれて分かりやすくしているので、復習や試験準備に十分活用してください。
 『捜査指揮』は、刑法理論というより、重要事件捜査の実情に関心のある人のための参考文献(文庫本)です。

6.
その他履修上の注意事項

 日常的テーマである犯罪や刑法に関心を持ち、講義のマナーを守って、よく聞き、よく読み、よく考え、議論して刑法を好きになってください。「好きこそものの上手なれ」です。
 授業には必ず六法(最低限、刑法の条文)を持参してください。授業中、教授から質問等されたことには、間違ってもよいから、積極的に発言してください。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 春期試験の解説、各論を学ぶにあたっての基本概念である「保護法益」についてほか
【第2回】
 個人的法益に対する罪のうち、
 財産に対する罪(1)財産犯の体系的分類・位置づけの基礎を理解する
【第3回】
 財産に対する罪(2)窃盗罪①(財物とは何か、占有とは?窃盗罪の保護法益など)
【第4回】
 財産に対する罪(3)窃盗罪②(窃盗の既遂時期、不法領得の意思など)
【第5回】
 財産に対する罪(4)強盗罪(強盗罪の客体としての財産上の利益、強取とはなど)
【第6回】
 財産に対する罪(5)詐欺罪・恐喝罪①(詐欺罪の客体、交付行為、不法原因給付と詐欺罪の成否など)
【第7回】
 財産に対する罪(6)詐欺罪・恐喝罪②(電子計算機使用詐欺、恐喝罪の客体、恐喝行為と畏怖、権利行使と詐欺・恐喝など)
【第8回】
 財産に対する罪(7)横領罪・背任罪①(横領罪の保護法益、二重売買など)
【第9回】
 財産に対する罪(8)横領罪・背任罪②(典型的な背任行為、他人の事務とは?、二重抵当、図利加害目的など)
【第10回】
 財産に対する罪(9)盗品等に関する罪、毀棄・隠匿罪(公用文書毀棄、私用文書毀棄、建造物損壊、器物損壊、信書隠匿)
【第11回】
 社会的法益に対する罪のうち
 公共危険罪(放火罪・往来妨害罪ほか)
【第12回】
 風俗に対する罪(わいせつ及び重婚の罪、賭博及び富くじに関する罪、死体損壊等の罪)
【第13回】
 国家的法益に対する罪(1)国家の存立に対する罪(内乱・外患)、国交に関する罪、国家の作用に対する罪(公務執行妨害を中心に)
【第14回】
 国家的法益に対する罪(2)国家の作用に対する罪(賄賂罪を中心に)
【第15回】
 まとめと試験