Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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行政法A 水谷 瑛嗣郎
選択  2単位
【法律】 17-1-1210-4406-19A

1. 授業の概要(ねらい)

 行政機関は、市民生活において、規制をかけたり、さまざまなサービスを提供したりしている。そして、行政法ほど我々の日常生活と関連している法律はない。その証拠に「六法全書」のうちごく一部の法律を除いて、ほとんどが「行政法」に関する、あるいは「行政法」の領域で取り上げられる法律なのである。(しかも、刑法や民法とちがって「行政法」という法典がないにもかかわらず、である!)実は行政法は、「犬も歩けば行政法に当たる」と呼ばれるほど、私たちの市民生活に深くかかわっている。行政法を理解することは、受講者のみなさんが、行政機関と自分たちの生活との関係を考えるために必要不可欠ともいえるのである。
 そこで、この授業では、①まず行政法の基本構造を学んだうえで、②行政機関が権力性をもって行う最も顕著な活動であり、そして行政法にとって最も重要な「行政行為」とは何かついて学んでいく。③その上で、行政行為以外の行政の活動形態を学んでいく。
 なお、テキストは指定のものを使用するが、かなり簡易なものであるので、授業の際は講義レジュメを配布し、適宜補っていくので注意されたい。
 授業計画は下記の通りであるが、諸般の事情により計画を変更する場合がある。その場合は、事前に授業中に告知をする。

2.
授業の到達目標

 この授業の目的は、行政法の基礎知識をもとにして、日頃のニュースから問題を発掘する能力を習得してもらうことである。行政法は我々の市民生活に深くかかわっており、その証拠に、日々新聞やテレビ、ネットで流れているニュースの中には、「行政処分」、「行政指導」、「行政代執行」といった行政法学における言葉が飛び交っている。こうした用語が飛び交うニュースを理解するためには、当然それら用語の意味することがわからなければならない。そのためにこの授業ではまず当面の目標として、授業内容における①~③に関する行政法の基礎知識の習得を目指している。
 次に副次的目標として、公務員試験対策がある。公務員試験では行政法は必要科目であり、また公務員として実際活動する際にも、行政法の考え方は必須である。そのため、この授業では公務員試験の勉強を行う上での基礎を習得してもらうことを目指している。

3.
成績評価の方法および基準

 レポート又は小テスト30%、学期末試験70%を基本とし、これに平常点(授業態度)を加味する。
 なお、出席は学生の当然の義務であるので、成績評価には加味しない。

4.
教科書・参考書

 教科書:自治体公法研究会編『新要点演習 行政法』(公職研、2016年4月)
 参考文献①:櫻井敬子・橋本博之『行政法(第5版)』(弘文堂、2016年)
 参考文献②:宇賀克也・交告尚史・山本隆司編『行政判例百選Ⅰ・Ⅱ(第6版)』(有斐閣、2012年)

5.
準備学修の内容

 予習:テキストの該当箇所を事前に読んでおくこと
 復習:授業終了後に参考文献と照らし合わせて復習をしておくこと
 なお授業の理解度をはかるために、何度かレポート提出を命ずることがある。

6.
その他履修上の注意事項

 他者に迷惑をかける行為(私語、食事、教室徘徊など)はこれを厳禁とし、相応の対処をする。場合によっては、成績・単位認定において平常点としてマイナス評価を加えることがある。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 行政とは、行政法とはいかなるものか?―「行政活動」のイメージ
【第2回】
 行政法の基本構造―行政の定義と主体、行政活動の種類、公法私法二元論
【第3回】
 法律は行政のエンジンでありブレーキでもある―法律による行政の原理
【第4回】
 行政のハンドルテクニック―行政裁量(「法律による行政の原理」の例外)
【第5回】
 鳩を大砲で撃ってはいけない―行政法の一般原則(信義則、権限濫用、比例原則)
【第6回】
 行政が「節電ルール」を作る―行政立法
【第7回】
 ラーメン屋を開こう!―行政行為の概念(「処分」とは何か)
【第8回】
 税金額が間違っていたので放っておいたら大変なことになった件―行政行為の効力・附款
【第9回】
 行政行為をなかったコトに!―行政行為の取消し・撤回、瑕疵ある行政行為
【第10回】
 映像授業(あるいは授業内講演)
【第11回】
 マンションに入居したら水が出ない―行政契約
【第12回】
 行政からの「お願い」―行政指導
【第13回】
 行政とマインクラフト―行政計画
【第14回】
 耐震偽装マンションを放っておいたら大変なことになった件―行政上の義務履行確保(行政代執行法)
【第15回】
 まとめ