Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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行政法 II 井川 博
選択  2単位
【経営】 17-1-1210-4647-20A

1. 授業の概要(ねらい)

 国や地方公共団体は、国民(住民)の福祉の向上のために様々な活動を行っている。行政法とは、こうした国や地方公共団体の行政活動に関する法である。憲法や民法、刑法などと異なり、行政法という名称の単独の法律は存在しないが、内閣法、地方自治法、警察法、学校教育法、都市計画法など、数多くの法律が行政法を構成して、国民生活の基盤を形成するとともに、我々の日常生活に大きな影響を与えている。
 行政法Ⅱでは、行政手続法、法の一般原則など、行政活動の手続法及び実体法的なコントロールについて講義する。また、取消訴訟、無効等確認訴訟、当事者訴訟など行政訴訟について学ぶとともに、国家賠償、損失補償、行政上の不服申立てについても講義することとしている。行政法は、社会の動きとの関連も深く、こうした点にも留意して講義を行いたいと考えている。

2.
授業の到達目標

 ①行政法の意義・役割、全体像について理解できる。
 ②原告適格など行政法の基本的な概念について理解できる。
 ③行政訴訟、国家賠償など行政救済の仕組みについて理解できる。
 ④行政法が、社会において実際にどのように機能しているか、について理解できる。

3.
成績評価の方法および基準

 学期末試験を基本とし、これに平常点等を加味して判定する。

4.
教科書・参考書

 教科書:曽和俊文・山田洋・亘理格著『現代行政法入門 第3版』(有斐閣、2015年)
 参考書:宇賀克也・交告尚史・山本隆司編『行政判例百選Ⅰ[第6版]』(有斐閣、2012年)
      宇賀克也・交告尚史・山本隆司編『行政判例百選Ⅱ[第6版]』(有斐閣、2012年)
    (法律学の勉強には、判例の研究も大切です。)

5.
準備学修の内容

 ①各回の授業内容に関する教科書の該当部分を事前に読んでおくこと。
 ②出来るだけ行政に関係する新聞の記事などに目を通しておくこと。

6.
その他履修上の注意事項

 ①講義では、レジメを配付する予定である。
 ②講義の内容を、レジメ、教科書で確認し、復習すること。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 「行政法Ⅱ」の講義の概要などについて説明するとともに、適正手続保障の必要性、行政手続法について学ぶ(手続法的コントロール①)。
【第2回】
 不利益処分の手続、手続的瑕疵の問題などについて学ぶ(手続法的コントロール②)。
【第3回】
 行政裁量、裁量審査など行政活動の実体法的コントロールに関する問題について学ぶ(実体法的コントロール①)。
【第4回】
 平等原則、比例原則、信義則など法の一般原則について学ぶ(実体法的コントロール②)。
【第5回】
 違法な公権力の行使に関する賠償について学ぶ(国家賠償①)。
【第6回】
 営造物の瑕疵に関する賠償(国家賠償②)、私人の特別な犠牲に対する補償である損失補償について学ぶ。
【第7回】
 違法・不当な行政の是正である行政上の不服申立制度について学ぶ。
【第8回】
 行政事件訴訟の意義・役割、行政訴訟の類型など行政訴訟法の全体像について学ぶ。
【第9回】
 取消訴訟の訴訟要件、取消訴訟の対象(判断基準、判例の展開①)について学ぶ。
【第10回】
 取消訴訟の対象(判例の展開②、今後の課題)、取消訴訟の原告適格(判断基準、判例の展開)について学ぶ。
【第11回】
 取消訴訟の原告適格(今後の課題)、行訴法改正後の展開、訴えの利益などについて学ぶ。
【第12回】
 取消訴訟の審理、判決など取消訴訟のプロセスについて学ぶ。
【第13回】
 取消訴訟以外の抗告訴訟(無効等確認訴訟、不作為の違法確認訴訟、義務付け訴訟、差止訴訟など)について学ぶ。
【第14回】
 抗告訴訟以外の行政訴訟(当事者訴訟、民衆訴訟、機関訴訟)について学ぶ。
【第15回】
 講義のまとめと試験を行う。