Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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考古学実習1- III 櫛原 功一
選択必修  2単位
【史】 17-3-1622-3223-06A

1. 授業の概要(ねらい)

考古学の主な研究対象は住居跡や墓穴などの遺構、土器や石器などの遺物である。遺跡の発掘調査では遺構を検出し、遺構から遺物を取り上げ、出土した遺物を図化・報告し、さらに総合的に考察して報告書として刊行することになるが、このような一連の考古学的調査を行うには、さまざまな知識と経験、記録に関する技術、体力が必要となる。春期の考古学実習の授業では、まず報告書作成までの一連の作業内容を学んだ後、室内において遺跡調査の具体的な方法、トランシットやレベル・平板などの測量器材を用いた遺構の基礎的な図化方法など、主に野外での発掘調査に関する各種技術について学習する。

2.
授業の到達目標

遺構・遺物の図化作業の基礎を学び、平面図、断面図、立面図などを実際に図化する。その際、遺構図であれば20分の1、10分の1が基本となるが、正しい図化作業技術を習得すること。

3.
成績評価の方法および基準

授業への取り組み状況、授業時の作業や器材の取扱い、図面の作図状況や習得の度合いとともに、授業時最終に予定する試験結果を総合的に評価する。

4.
教科書・参考書

『発掘調査のてびき』同成社など。そのほか研究室の書架にある各種遺跡調査報告書など。

5.
準備学修の内容

可能であれば、身近に行われている発掘調査に長期休暇等を利用して参加し、さまざまなスキルを身に付けること。地元の教育委員会を通して発掘調査に参加することが望ましいほか、文化財研究所(山梨県笛吹市)でも発掘調査、整理作業が日常的に行われているので、研究所を積極的に利用し、職員から直接学ぶことも可能である。

6.
その他履修上の注意事項

夏季休暇に予定されている考古学野外実習で発掘調査の実際を体験できるので、座学で学んだ技術・方法が実際どのように行われるかを学ぶことができる。そちらも併せて履修し、発掘調査に参加することをお薦めする。

7.
各回の授業内容
【第1回】
導入として、授業の内容についての概説を行う。
【第2回】
遺跡における発掘調査とは何か。計画から報告書作成までの概要について学ぶ。
【第3回】
遺跡の発掘、遺構の検出について学ぶ。遺構として検出する各種遺構にどのようなものがあり、遺物はどのように出土するか、どのように調査を進めるか。
【第4回】
竪穴住居の調査方法について学ぶ。柱穴、炉、埋甕、貯蔵穴など、どのような付属施設があり、どう調査するか、遺物をどのように記録し、取り上げを行うか。
【第5回】
掘立柱建物跡、土坑や溝、井戸、土器捨て場などの各種遺構の調査方法について学ぶ。とくに木製品などの有機物や、炭化種実・骨などの取扱い。
【第6回】
報告書作成について学ぶ。その構成、報告の仕方などについての学習。
【第7回】
遺構図の測量方法について原理を学ぶ。平板測量、遣り方測量、光波測量機による測量、写真図化による測量など各種方法について。
【第8回】
遺物整理の手順について、遺跡から取り上げた遺物をどのように整理し、報告書に掲載するか。水洗、注記、接合、復原などの概要について。
【第9回】
各種科学的分析について学ぶ。年代測定、炭化物の同定、土壌分析などの自然科学的分析について、何を目的としてどのタイミングで実施し、報告するのか。
【第10回】
遺跡での実測の実習として平板測量を学ぶ。また遺跡での断面実測の実習として、水糸をレベルで設定し、コンベックスを用いて方眼紙に作図する。
【第11回】
遺物の注記、接合、復原作業の実習として、面相筆で土器片に注記する。
【第12回】
遺物の復元として石膏による土器復元を植木鉢を用いて体験する。
【第13回】
遺物の実測作業として、石器の実測の仕方を学ぶ。
【第14回】
遺物の実測作業として、土器の実測の仕方を学ぶ。
【第15回】
まとめと試験を行う。