担当者 | 廣中 直行 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [心理学科 2017年度以前] | |
科目ナンバリング | PSY-305 |
行動嗜癖について学ぶ:
嗜癖(addiction)は現代社会を襲う「心の病気」です。以前は覚せい剤や大麻のような違法な薬物の乱用が大きな問題でした。しかし現在では嗜癖問題の様相が変わっています。アルコールやたばこなど、身近な嗜好品の嗜癖問題が重要になってきました。それだけではありません。ギャンブル、インターネット、ゲームなど、化学物質ではないものへ「はまり込んで」身動きが取れなくなってしまう深刻な問題が生じています。このような問題を「行動嗜癖(behavioral addiction)の問題」と言います。そしてまたこの問題は、心理学が積極的に関わり、トレンドを作りあげていかなければならない問題でもあります。この授業では行動嗜癖について現在までにわかっていることやこれから考えなければならないことを解説します。
① 行動嗜癖とはどのような問題であるのかを理解すること。
② 行動嗜癖の背景にどのような生物学的メカニズムがあるのかを理解すること。
③ なぜ行動嗜癖におちいるのか、心理的なプロセスを理解すること。
④ 行動嗜癖の治療と回復支援に心理学がどのようにかかわるのかを理解すること。
学期なかばに一度レポートを書いてもらいます。加えて学期末にもう一度レポートを書いてもらい、両方のレポートによって評価します。配点はそれぞれ50−50とします。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 教科書は使いません。 | ||
参考文献 | 依存症のすべて | 廣中直行 | 講談社(2013) |
参考文献 | ギャンブル依存症 | 田辺等 | NHK生活人新書(2002) |
参考文献 | ネット依存症 | 樋口進 | PHP新書(2013) |
かなり専門的な内容の講義であるため、学習、認知、生理、発達、人格、臨床といった心理学諸領域の知識が講義内容といかに関連するか、自分なりのノートを作ってまとめておくことを勧めます。講義内容はLSMで公開しますので、そこで復習してください。
具体的なケースにどう対応するかをお教えすることはできません。
回 | 授業内容 |
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第1回 | 最初の3回は総論です。 嗜癖とは何か(全般的な概論) |
第2回 | 嗜癖の生物学的なメカニズム |
第3回 | 嗜癖の心理的背景 |
第4回 | ここから各論に入ります。 ギャンブル障害(基礎) |
第5回 | ギャンブル障害(臨床) |
第6回 | ゲーム障害 |
第7回 | ネット・スマホへの「嗜癖」 |
第8回 | 摂食障害と嗜癖 |
第9回 | 性行動と嗜癖 |
第10回 | 「買い物」嗜癖 |
第11回 | その他の「行動嗜癖」 |
第12回 | ここから再び総括的な内容です。 なぜ嗜癖になるかの理論(1)生物学的な理解 |
第13回 | なぜ嗜癖になるかの理論(2)心理学的な理解 |
第14回 | 回復支援に必要なこと |
第15回 | 嗜癖問題から見えてくる現代社会の姿 |