担当者 | 鈴木 稔 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [文学研究科 日本史・文化財学専攻] | |
科目ナンバリング |
美術工芸品や考古学的資料等の科学的研究を通じて人類の過去を探るともに、その価値を明らかにして文化財を保存しようとする学問領域として文化財科学がある。この講義では文化財科学の中でもいわゆる文化財測定法を取り上げ、文科系の学生を主対象に、位置・色彩・形状・構造・材質・産地・製作技法・年代などに関する理化学的データを適切に評価・解釈し、歴史学や考古学の研究に応用できるよう指導する。特に、この分野での論文をなるべく多く取り上げながら各種文化財測定法の原理や手順についても理解を深め、対象とする文化財や得たい知見に合わせてどのような測定が必要か、想定される問題点は何か、などについて自ら考える力を養う。
この講義では博物館学芸員や文化財専門職をめざす者に求められる幅広い知識の習得を図る。そのために、文化財測定の実際例を取り上げ、各分析手法の特徴について実際に即して学ぶ。そのうえで、文献に記載された各種測定データを各自の研究テーマにしたがって美術史、歴史学や考古学に適切に応用できる判断力を身につける。
文化財の各種分析方法に関する論文を講読し毎回小レポートを課し(40%)、出席点(30%)と合せて平常点とする。また、期末にテストを実施する(30%)。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 教科書は用いず教場にてプリントを配布する。 | ||
参考文献 | 参考文献は適宜指示する。 |
分析手法に関するプリントは前もって配布するので通読しておくこと。
論文についても前週に配布するので必ず読んでから授業に出席すること。また、事後にも読み返して理解を深めておくこと。
本講義では機器を用いた本格的な実験やフィールド調査はできないので「文化財科学実習」をあわせて受講することを勧める。
講義の中で耳慣れない理科系の用語や英単語が出てきたら辞書・事典やネットなどを利用してそのつど検索しておくこと。おぼろげながらも見当をつけながら歩き続ければ、そのうち自信を持って歩けるようになります。
文化財に対する知識を深めるためにも博物館・美術館に足を運んで実物を見るよう心がけて欲しい。授業でも開催中の展覧会をなるべく紹介します。
回 | 授業内容 |
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第1回 | ガイダンス、文化財測定学とは |
第2回 | 光学的調査法1(蛍光X線分析) |
第3回 | 光学的調査法2(走査型電子顕微鏡、紫外-可視-近赤外線分光) |
第4回 | 可視化1(X線透過写真撮影、CTスキャナー) |
第5回 | 可視化2(3次元スキャナー、3次元プリンター、赤外線TV法、赤外線スキャナー) |
第6回 | 文献文化財科学1(鉱物産地) |
第7回 | 文献文化財科学2(金属産地) |
第8回 | 文献文化財科学3(形状・構造、製作技法ほか) |
第9回 | 文献文化財科学4(放射性炭素年代) |
第10回 | 文献文化財科学5(年輪年代) |
第11回 | 文献文化財科学6(位置・色彩ほか) |
第12回 | 文献文化財科学7(最近の研究成果から1) |
第13回 | 文献文化財科学8(最近の研究成果から2) |
第14回 | 文献文化財科学9(最近の研究成果から3) |
第15回 | まとめ |