史学概論Ⅰ
担当者能勢 和宏教員紹介
単位・開講先必修  2単位 [史学科]
科目ナンバリングHSG-201

授業の概要(ねらい)

 歴史小説や大河ドラマ、中学・高校での歴史の授業など、受講者の多くはこれまでに歴史に触れ、そしてそれが好きで史学科に入学したと思う。ところが皆さんがこれまでに触れてきた歴史と、学問としての歴史学の間には意外と大きな違いがある。この授業で歴史学の方法論を学び、歴史を「覚える」という作業から卒業し、歴史を「調べる・考える」という姿勢を身につける。前期の授業では特に史料の取り扱い方と、問題意識という歴史論文を書くために不可欠な要素を学ぶ。これらをおさえているかどうかで卒業論文の出来が大きく変わってくるだけではなく、レポートや試験を学術的な書き方で解くこともできるようになる。
 より具体的には前期に扱うテーマは以下の4つとなる。
 1)歴史学ではどのような方法を用いて歴史を描いているのか。史料発掘、史料読解、史料批判という基本的な作業を知る。
 2)「ホロコースト否定論」という題材を用いて、歴史学がどのように史実を確定させているのかを知る。
 3)時代区分(古代・中世・近代)を通して、歴史学が何を明らかにしようとしてきたのか(問題意識)を知る。
 4)歴史に関する創作作品に価値は無いのだろうか。アニメ作品における歴史の描かれ方を検討する。

授業の到達目標

 ①歴史学の学問的特徴について説明できるようになる。
 ②歴史に関する知識を身につけるだけではなく、主体的に歴史に関わる問題を発見し、考察する姿勢を身につける。

成績評価の方法および基準

 中間試験(40%)、学期末試験(60%)

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書各テーマについての参考文献は授業中に紹介する。
参考文献『歴史学ってなんだ?』2004年小田中直樹PHP新書

準備学修の内容

 扱う時代、地域は多岐に渡るため、事前に1年次に受講した概説の授業の復習を行う。もしくは高校世界史教科書を読み返しておく。

その他履修上の注意事項

 授業の妨げとなるような行為を行った場合、授業への出席を禁じる。

授業内容

授業内容
第1回 ガイダンスとアンケート
第2回 「歴史」と「歴史学」の区別
第3回 「史料」とは何か
第4回 歴史学における一次史料の扱い方
第5回 脚注の意味
第6回 「ホロコースト否定論」を通して学ぶ歴史学のマナー①
第7回 「ホロコースト否定論」を通して学ぶ歴史学のマナー②
第8回 中間試験
第9回 「問題意識」とは何か
第10回 時代区分の意味を考える(古代)
第11回 時代区分の意味を考える(中世)
第12回 時代区分の意味を考える(近代)
第13回 アニメにおける歴史の描かれ方(映画『もののけ姫』)
第14回 アニメにおける歴史の描かれ方(映画『平成狸合戦ぽんぽこ』)
第15回 まとめと試験