担当者 | 能勢 和宏教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択必修 2単位 [史学科] | |
科目ナンバリング | HEA-206 |
2016年の国民投票で下されたイギリスのEU離脱という決定が、ヨーロッパのみならず日本含む世界を驚かせたことは記憶に新しい。そして2019年2月現在、離脱交渉のタイムリミットである3月29日を目前にしながら、合意の見込みが立っておらず、4月以降、どのような関係がイギリスとEUの間に築かれているのだろうか。また、その前にもウクライナをめぐるEUとロシアの対立、ギリシャを発端とするユーロ危機、シリアを中心とする中東諸国から大量に押し寄せる難民の問題など、ここ最近のEUをめぐるニュースはEUの不安定さをあらわにするものが目立っている。その一方で、昨年日本はEUと経済連携協定を結び、今後EUとの関係は強化されていくことになる。
このように今日EUはヨーロッパの状況に大きな影響を与える存在であるだけではなく、日本にとっても重要な存在となっている。では、EUとはどのような機関であり、他の国際機関と比べたとき、なぜここまでの重要性を秘めているのだろうか。EUについて耳にする機会は多くても、その実態は謎めいたままなのではないだろうか。この授業ではヨーロッパ統合の成り立ちを踏まえてEUの特徴を知ることで、EUの持つ歴史的・世界的な意義について学ぶ。
後期の授業ではヨーロッパ統合が様々な領域に拡大していく1970年代から現在までを扱う。また、今日EUをめぐる状況は日々変化しているので、そうした動きについても授業中に紹介していく。
①ヨーロッパ統合の歴史を知る。
②今日のヨーロッパにおける様々な出来事に関心を持ち、国際的な視野を身につける。
小テスト(40%)、期末試験(60%)
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | |||
参考文献 | 『ヨーロッパ統合史【増補版】』2014年 | 遠藤乾編著 | 名古屋大学出版会 |
ヨーロッパの近現代史に関する基礎知識があると授業の理解がはかどるので、1年次に受講した西洋史概説や高校世界史教科書を復習しておくことを推奨する。
また小テストは事前に告知をせずに行うので、復習を欠かさないこと。
授業中の私語はもちろん厳禁だが、授業に関わる意見・発言・質問などは授業中でも遠慮なく行ってもらいたい。
前期から連続した内容であるため、前期と合わせて受講することを推奨する(必須ではない)。
回 | 授業内容 |
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第1回 | ガイダンスと前期のふりかえり |
第2回 | 1970年代のヨーロッパ統合ーー通貨協力のはじまり |
第3回 | 1970年代のヨーロッパ統合ーー政治協力の強化 |
第4回 | 1970年代のヨーロッパ統合ーーヨーロッパ市民権の模索と教育政策 |
第5回 | 1980年代前半のヨーロッパ統合ーーサッチャーとミッテランの統合への抵抗 |
第6回 | 1980年代後半のヨーロッパ統合ーードロールの活躍と単一欧州議定書の世知恵 |
第7回 | 冷戦終結のインパクトーーヨーロッパの再統一 |
第8回 | 1990年代のヨーロッパ統合ーーマーストリヒト条約の成立 |
第9回 | 1990年代のヨーロッパ統合ーー欧州懐疑主義の台頭 |
第10回 | 2000年代のヨーロッパ統合ーー東欧へのEUの拡大 |
第11回 | 2000年代のヨーロッパ統合ーー欧州憲法の模索と挫折 |
第12回 | 2000年代のヨーロッパ統合ーー欧州議会の発展、ボローニャプロセス、人の移動の活性化 |
第13回 | 2010年代のヨーロッパ統合ーーユーロ危機と難民危機 |
第14回 | 2010年代のヨーロッパ統合ーーBrexit |
第15回 | 授業の総括と試験 |