日本文化Ⅰ-Ⅱ
担当者渡部 瑞希教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [総合基礎科目]
科目ナンバリングJLT-102

授業の概要(ねらい)

皆さんの中には、妖怪や幽霊の存在を真剣に信じている人はほとんどいないでしょう。それはファンタジーの世界か、アニメーションの世界の話で、現代社会ではすでに消え失せてしまったかのようです。しかし、日本には、未だに妖怪や幽霊などの不確かな存在を求める精神世界が残っています。本講義では、妖怪や鬼、幽霊現象を民俗学、文化人類学の視点から読み解くことで、一見、おどろおどろしい妖怪たちが、現代の日本社会とどのように接合しているのかを学習していきます。

授業の到達目標

・文化人類学や民俗学の視点から、妖怪や鬼、憑き物が生かされた社会的背景を理解できる
・妖怪や鬼、憑き物の物語から、現代の日本社会の精神世界を知ることができる
・妖怪を風刺する日本のアニメーションについて深く考察することができる

成績評価の方法および基準

平常点50点(受講態度40%、コメントペーパーと事前学習 10%)
試験 50%(講義内の小テスト 30%、期末試験 40%)

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書
参考文献柳田國男『遠野物語』メアリ・ダグラス 2017『汚穢と禁忌』ちくま文芸文庫小松和彦 1995『異人論』ちくま文芸文庫
参考文献小松和彦 2018『日本妖怪異聞録』講談社学芸文庫

準備学修の内容

・授業でとりあげるテーマに関連する資料を、事前・事後学習として読む(→理解度が変わります)。
・講義後にコメントペーパーor課題or小テストの提出を求めます

その他履修上の注意事項

講義形式の授業です。講義の内容を自身の日常生活に則して捉えなおすことで、より一層理解が深まります。当然のことながら私語は厳禁

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス
第2回現代の妖怪学①
妖怪や幽霊はどのような存在として、いかにして生み出されているのか?そのメカニズムを学習する
第3回現代の妖怪学②
プロトタイプという概念を学習し、妖怪物語を一層深く理解する手立てとする
第4回現代の妖怪学③
ジブリ映画、ゲゲゲの鬼太郎、妖怪ウォッチなど、日本には妖怪を題材にしたアニメーションが実に豊富である。そうしたアニメーションが発したいメッセージを読み取ることで、妖怪の存在意義を考察してみる
第5回山の怪
山姥、雪女、山女、天狗など、山に出現する妖怪をとりあげる
第6回水の怪
河童や蛭子など、川や海に出現する妖怪をとりあげる
第7回屋敷・道ばたの怪
座敷童やろくろ首、傘オバケなど屋敷や道ばたに出現する妖怪をとりげる
第8回動物の怪
犬神や猫又、狐、狸など妖怪変化しやすい動物の物語をとりあげる
第9回『妖怪百物語』を視聴
第10回その他の妖怪ー化け物
日本人にとって化け物とは何か?化け物退治の系譜から明らかにしていく
第11回その他の妖怪―鬼
日本人にとって鬼とは何か?ー「酒呑童子」や「泣いた赤鬼」などの昔話から明らかにしていく
第12回その他の妖怪ー幽霊
幽霊は、亡霊や妖怪、悪霊とどう違うのか?皿屋敷やお菊の憑依の物語から明らかにしていく
第13回その他の妖怪ー異類婚姻譚
人間と妖怪が交わり産まれた子どもはどのような位置づけになるのか?さまざまな昔話から明らかにしていく
第14回総括と試験対策
第15回試験