教科指導法(図画工作)
担当者辻  政博
単位・開講先選択  2単位 [初等教育学科 初等教育コース]
科目ナンバリングESS-310

授業の概要(ねらい)

 図画工作科の授業は、小学校の教育課程の中で、次に示す目標を掲げ、位置付けられている。
 表現及び鑑賞の活動を通して、造形的な見方・考え方を働かせ、生活や社会の中の形や色などと豊かに関わる資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
 (1)対象や事象を捉える造形的な視点について自分の感覚や行為を通して理解するとともに、材料や用具を使い、表し方などを工夫して,創造的につくったり表したりすることができるようにする。
 (2)造形的なよさや美しさ、表したいこと,表し方などについて考え、創造的に発想や構想をしたり、作品などに対する自分の見方や感じ方を深めたりすることができるようにする。
 (3)つくりだす喜びを味わうとともに、感性を育み、楽しく豊かな生活を創造しようとする態度を養い、豊かな情操を培う。(『小学校学習指導要領解説 図画工作編』文部科学省、平成29年6月)
 この授業では、児童の楽しい主体的な学びの場をつくっていくために、授業の中心となる「題材」を実際に体験し、製作しながら、その目的、内容、方法、教師のあり方などについて関連付け、教科指導に関する理解を深めていく。
 また、造形活動の基本的な原理である「材料・場所」「操作」「イメージ」の視点から把握しながら、より深い題材理解をうながしていきたいと考えている。
 授業では、「学習指導要領」に基づいた内容を、自らが、児童の立場に立って、製作・体験し、味わいながら、学習を進める。各自、授業実践についての「ポートフォリオ」を作成し、リフレクションしながら、教科の指導力を高めたいと考える。

授業の到達目標

 ・図画工作科における基礎的な知識・技能を身に付ける。
 ・各種題材の製作を通して、自分なりの造形表現や鑑賞活動を行い、実践的な指導力を身に付ける。
 ・グループワークで議論を深め、発表できるようにする。
 ・学習内容を「ポートフォリオ」にまとめ、リフレクションしながら活動できるようにする。

成績評価の方法および基準

 ①「ポートフォリオ」作成と提出。60 %
  ・配布資料を適切に保管し読み、活用しているか。
  ・学習内容や活動を記録し明示しているか。
  ・学習内容や活動への自分の考察をワークシート等に書いて、まとめているか。
  ・学習内容や活動を、内容に合わせながら美的にデザインし、まとめているか。
 ②主体的な表現活動と鑑賞活動、及び、グループワークの話し合いと発表。20%
 ③授業への関心・意欲・態度。20%
 …以上の観点から総合的に判断する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『小学校学習指導要領解説 図画工作編』H 29年6月(文部科学省)
参考文献『文部科学省検定小学校図画工作教科書(H27年度版)』代表著者:水島尚喜、阿部宏行、辻政博(日本文教出版社)
参考文献『わくわく図工室にいこう3』2017年監修:辻政博、鈴石弘之、編集:美術手帖編集部等(美術出版エデュケーショナル)
参考文献『子どもの発想力と創造力が輝く 絵画・版画指導』2015年監修:辻政博(ナツメ出版)

準備学修の内容

 ○「ポートフォリオ」は、各自、写真等を印刷し、配布資料とともに、所定のスケッチブックに作成します。
 ○「ポートフォリオ」の作成は、毎回の授業ごとに振り返りながら作成してください。
 ○授業で紹介した「展覧会」「児童作品展」「造形教育関係の施設」などに足を運び、鑑賞したり、見学したりするなど、造形教育への見聞を高めてください。

その他履修上の注意事項

 ○児童の気持ちや視線をもって授業を体験するとともに、習得した知識や技能を自分なら教育活動にどのように活用するかイメージしながら受講してください。
 ○実技を中心とした授業です。のびのびと活動するために、汚れてもよい服装や材料、用具などの準備があることに留意してください。
 ○進度や理解等によって、進行内容を変更する場合がありますので、留意ください。

授業内容

授業内容
第1回 ・オリエンテーション(授業の目的、内容、評価などについて)。
第2回 ・図画工作科の題材とその構造。
 ・「A表現 造形遊び」①(材料(場所)、操作を生かした造形活動)。
第3回 ・「A表現 造形遊び」②(身体感覚を生かした造形活動)。
第4回 ・「A表現 絵に表す」①(材料、操作から)。
第5回 ・「A表現 絵に表す」②(モダンテクニックを体験する。いろいろな技法で)。
第6回 ・「A表現 絵に表す(版表現)」③(木版による表現(1)彫刻刀の活用)。
第7回 ・「A表現 絵に表す(版表現)」④(木版による表現(2)彫り進み版画)。
第8回 ・「A表現 立体に表す」①(粘土を主材料に)。
第9回 ・「A表現 立体に表す」②(人工材や針金など。用具の安全な活用)。
第10回 ・「A表現 工作に表す」(板材を活用して表す。計画、製作)。
第11回 ・「B鑑賞」(鑑賞と表現の一体化、カードを活用した鑑賞など)。
第12回 ・「題材を考える」(友人とかかわりながらグループで題材を検討し発表する)。
第13回 ・指導計画案の作成と発表。
第14回 ・個々の授業内容のまとめと「ポートフォリオ」作成
第15回 ・まとめ(授業の総括と「ポートフォリオ」の提出)。