社会学文章表現研究Ⅱ
担当者中谷 直司教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [社会学科]
科目ナンバリングSOC-302

授業の概要(ねらい)

 教員のファシリテーション(手助け、援助、励まし)の下、一学期で社会科学系(社会学、政治学、経済学など)の新書を2冊読んで、それぞれA4で2枚程度の書評(導入・要約・考察からなる3部構成のブックレポート)を書く。新書とは、中公新書、岩波新書、講談社現代新書など、各学問分野の入口となる書籍を指すジャンル名である。

【授業は大きく2つのパートからなる】
(1)まず最初の4回では、戸田山『新版 論文の教室──レポートから論文作成まで』を教科書として、学術的な文章作成の基本ルールと考え方を確認する。この内、初回を除く3回は反転授業として実施し、事前に指定した箇所を各自が読んで、簡単な読書メモ(A4で1~2枚)としてまとめてくる。その上で、当該箇所に対応した文章作成の演習を実施する。
(2)残り11回では、インターミッションを2回挟みつつ、受講生が作成した書評の発表(執筆者がそのまま読み上げる)と、その内容に対するディスカッションを実施する(課題文献は第2回に決定)。また担当者による講評・添削もその場で行う。このため、同じ担当者による社会学文章表現研究I(前期)とは異なり、授業中に書評作成の時間はとらない。なお、卒業年次生で卒業論文を執筆中のものは、第2回ブックレポートの発表にかえて、卒論の一部草稿や要約などを報告しても良い(授業開始後に相談)。

 以上のように、まず教科書を用いた反転授業によって(1)論文執筆の基本ルールと考え方を理解し、その上で書評2本を執筆することで(2)学術的な文章を書くのに十分な基礎能力を定着させることを狙う。特に同じ担当者による社会学文章表現研究Ⅰ(前期)も履修した場合、2000字程度の書評を計4本書くことになり、文章力向上の効果は飛躍的に高まると期待できる。なぜなら、文章力向上の近道は、明確なテーマと目的を持ち、それだけで完結する文章をできるだけたくさん執筆することだからである。

*クラス規模は20名程度を想定しているが上回った場合は、授業の内容を一部調整する。

授業の到達目標

(1)学術的な論文の基本ルールを理解する。
(2)(1)を踏まえて、自身の専門分野の具体的な執筆ルールを自ら調べて、論文・レポートの執筆に反映できる。
(2)書評(ブックレポート)の執筆を通じて、「先行研究・問題の分析・分析結果の考察」の3部を基本とする学術論文の執筆に向けた基礎的な枠組を理解する。
(4)他者が書いた学術的な文章(本クラスの場合はブックレポート)の技術的な改善点を具体的に指摘できる。
(5)他者が書いた学術的な文章(本クラスの場合はブックレポート)の趣旨を理解した上で、その内容について学術的に議論できる。

成績評価の方法および基準

授業への参加(反転授業での演習;書評の発表とディスカッション)と課題(読書メモ、書評)の提出50%、提出物の内容50%を総合的に評価する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『新版 論文の教室──レポートから卒論まで』戸田山和久NHKブックス
参考文献

準備学修の内容

(1)第2回~3回の授業の前に、教科書の指定箇所を読み、簡単な読書メモとしてまとめてくる(A4で1~2枚)
(2)第2回で決定する課題文献2冊を読みすすめ、それぞれ書評(ブックレポート)としてまとめる(卒業論文執筆中のものは、2つめのブックレポートを卒論の一部草稿や要約に変更可)。
(3)前半・後半ともに、発表会での評価・ディスカッションを踏まえて、最終稿を仕上げる。

その他履修上の注意事項

(1)初回までに教科書の戸田山『新版 論文の教室』(2014)を入手する。
(2)受講生の数や授業の進度にあわせて、内容を一部調整する場合がある。
(3)前期開講の社会学文章表現研究Ⅰ(中谷担当)をあわせて受講することを勧める。ただし必須ではない。

授業内容

授業内容
第1回イントロダクション──進め方の説明;教科書の説明;課題文献リストの配付
第2回教科書を用いた演習1──論文とは何か;第1・2回ブックレポートの希望文献の報告と決定
第3回教科書を用いた演習2──論文を準備する
第4回教科書を用いた演習3──論文を書いて直す
第5回インターミッション1──参考文献表の書き方;要約の仕方;自己紹介
第6回第1回ブックレポートの発表とディスカッション1
第7回第1回ブックレポートの発表とディスカッション2
第8回第1回ブックレポートの発表とディスカッション3
第9回第1回ブックレポートの発表とディスカッション4
第10回インターミッション2──第1回発表のフィードバックと授業改善のグループワーク
第11回インターミッション3──参考文献表の書き方
第12回第2回ブックレポートの発表とディスカッション1
第13回第2回ブックレポートの発表とディスカッション2
第14回第2回ブックレポートの発表とディスカッション3
第15回第2回ブックレポートの発表とディスカッション4