世界の情勢(ヨーロッパ)Ⅰ
担当者
単位・開講先選択  2単位 [総合基礎科目]
科目ナンバリングARS-103

授業の概要(ねらい)

 ヨーロッパの今日を理解するために歴史、社会、政治、経済、文化、暮らしを総合的に学びます。とくに第二次大戦後のヨーロッパを講義テーマとします。そこで戦後の歴史を欧州全体の流れとともに、イギリス、フランス、ドイツといった地域主要国を中心に学んでもらいます。
 他国を学ぶことにおいて、全体像を学ぶことが大切。今日のヨーロッパは、前大戦が与えた甚大な損害から復興に励み、世界に先駆けた国際的地域連合の建設を目指してきました。それが欧州連合(EU)です。ヨーロッパの歴史は戦争の歴史でもあります。とくに20世紀の二度の大戦は社会や政治、文化あらゆる分野において、それまで世界をリードしてきたヨーロッパの地位を根本から覆したのです。そこからいかにして復興を果たし、伝統と文化を再び蘇らせて世界的地位の復権を目指したか。同じように戦争から復興し、経済大国となった日本と比較しながら、考え、理解していくようにしたい。ヨーロッパを学ぶ上では映像資料、とくに戦後制作された映画は重要な教材となりえます。講義でも機会あるごとに必要な映像資料を観てもらい、理解を助けるために活用していきます。前期は戦争終結からヨーロッパが運命づけられた戦後の歩みをたどり、ドイツ、フランス、イギリスの3つの主要国を学びます。
 外国を学ぶ上で、歴史を学ぶことは不可欠です。そこに言語学習が伴うことで準備が整うのです。逆に言語学習だけでは十分とはいえません。外国語学部学生の履修者には、その点をとくに強調しておきたい。また、毎回の講義後半に学生諸君から出た質問をもとに議論を行います。別途、個人的に質問してきた場合、その内容次第で次回の講義で改めてみんなの前で質問してもらい、教室内の議論につなげたいと思います。

授業の到達目標

 数多くの国が集まり、しかも長い歴史をそれぞれが有した国々から成り立つヨーロッパの社会・文化・経済の基本的知識を身につけたい。明治維新からこれまで日本に大きな影響を与えてきた地域について、一定の知識に基づき、学生諸君がそれぞれヨーロッパについて意見をもち、発表できるようなレベルに達するのを目指します。学んだことや、講義内の映像資料について、「印象に残った」「面白かった」という月並みな感想を述べるだけでは、評価されません。「何に、なぜ」を自分の意見として組み立て、文章でも論述できるようになることが求められます。

成績評価の方法および基準

 春秋セメスターごとに15回の講義を通じて解説された内容について、最終試験において問い、考査します。講義内容をどれほど理解したか、大切なポイントを押さえているか、などが考査の対象となる。最終考査は前期で学んだことの知識が身に付いたかという問題と、論述形式の筆記テストの二部形式とします。また、講義内で時に求めるコメント記述も成績評価に加えます(10%)。筆記テストでは、中高校時代の感想文レベルでは評価が低いと心得ておいてください。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書各講義ごとに解説する項目をパワーポイントで表示しますから、それを解説上のポイントとしてプリントにして、配布します。映像資料はなるべく新規のものを使用したいので、急に変更する場合があるので注意すること。
参考文献

準備学修の内容

 ヨーロッパ現代史に関した本や映画を自分の関心にそって読んだり、鑑賞しておくと良い準備になる。とくに史実に基づく映画を鑑賞して、感想をノートに記録しておくことをすすめます。時代背景を関連書で確認したりすれば、知識は広がる。講義で要求するのは、基本的知識の蓄積につとめることです。ノートをよくとり、記憶を確かにしていくよう努力してください。映像資料を観た場合、クラス内議論の代わりに履修生に短いコメントの記述を求め、提出してもらいます。

その他履修上の注意事項

 語学学習はヨーロッパを学ぶ上で重要な要素。平行して英語だけでなく、ドイツ語、フランス語、スペイン語を履修していけば、講義理解に大いに役立ちます。基本的な受講ルールは他の講義と同じ。出欠に関する違反行為や、教室内の態度で何度か注意をうけるような場合、講義受講を禁止することもあります。

授業内容

授業内容
第1回 ガイダンス 講義進行の説明など ヨーロッパがなぜ重要か
第2回 ヨーロッパが世界覇権をもつ近代の流れ概説 近代史でグローバリゼーションを実現したオランダとイギリス
第3回 今日のフランス:うまし国フランス パリの暮らしと南仏の日常
第4回 現代欧州の倫理責任を明確にした出来事:ホロコースト 戦後初めてユダヤ人大虐殺を世界に伝えたフランス映画「夜と霧」
第5回 ホロコーストに蹂躙された人々 映像資料「アンネの日記」から
第6回 映像資料「ヒトラーの野望」と解説
第7回 映像資料「勝者の世界分割ヤルタ会談」と解説 東西冷戦の始まりとヨーロッパ
第8回 東西2つのドイツの悲劇:なぜ分断は起きたか
第9回 フランス:世界の近代を開いたフランス革命 現代に与えた意味
第10回 フランスの神話レジスタンス 戦後そのレジスタン活動を描いて神話を高めた映画「鉄路の闘い」
第11回 現代イギリス:EU離脱から次の時代へ
第12回 イギリス:「英国王のスピーチ」(前編)と解説 国民統合の王制と議会政治を維持してきた民主主義の伝統
第13回 イギリス:「英国王のスピーチ」(後編)と解説
第14回 戦争の欧州を新時代へと導く政治経済の統合物語 欧州連合(EU)とは何か
第15回 まとめと講義内テスト(期末考査)