社会精神医学概論
担当者大塚 秀実教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [心理学科 2017年度以前]
科目ナンバリングCLI-306

授業の概要(ねらい)

 社会精神医学とは、精神医学的な問題が生物・心理・社会の影響を受けていることを前提する学問である。2011年に起きた東日本大震災は、災害時の健康支援にはどんな支援ができるだろうか、という疑問を投げかけた。また、日本で餓死がでたという出来事は、貧困問題が日本に存在するということを否応なく意識させられ、私たちに驚きを与えるのに十分であった。そして、それらの出来事がその後どのように推移したのか、どのような結果となったのか、を知ることはとても重要なことである。人口が減少に向かっている今でも自殺者数が2万人程度を推移している現状もまた、私たちになぜ死を選ばなければならない状況があるのかを考えることを要求する事態である。こうした問題は、専門家だけが取り組めば解決に向かうものではない。誰もが身近な問題であると捉えることによってはじめて、現実味を帯びてくるものである。社会的な問題と精神医学が関連する分野を知り、新たな視点を得ることを目指す。
 授業はリアクションペーパーの質疑とともに進める。

授業の到達目標

1.社会で起きる出来事に関心を抱き、精神疾患や精神疾患が生じる背景を理解すること。
2.現状や知識をもとに自分の意見を述べることができるようになること。

成績評価の方法および基準

毎回のリアクションペーパー30%、試験70%

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書
参考文献子どもの人権をまもるために木村草太(2016)晶文社
参考文献中井久夫著作集9日本社会における外傷性ストレス2005-2007中井久夫(2019)岩崎学術出版社
参考文献自殺の内景―若者の心と人生苗村育郎(2015)無明舎出版

準備学修の内容

授業で紹介した書籍・論文を読んでおくこと。

その他履修上の注意事項

・社会で起こる出来事について興味関心を抱き、積極的に調べること。
・授業内で調査を依頼することがある。
・ゲストスピーカーを招くことがある。
・真剣に学ぼうとしている学生の邪魔(私語・飲食)をしないこと。

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス:社会の問題とメンタルヘルスの問題について学ぶ
第2回震災とメンタルヘルスについて学ぶ
第3回震災支援について学ぶ
第4回戦争とPTSDについて学ぶ
第5回貧困問題について学ぶ 
第6回貧困問題とメンタルヘルスの関係について学ぶ 
第7回人口動態統計からみる自殺者の経年変化を学ぶ 
第8回日本における自殺について学ぶ
第9回日本における精神障害に関する現状と課題を学ぶ
第10回海外におけるメンタルヘルス支援を学ぶ:イタリアのバザーリア改革とは何か
第11回障害者差別解消法と合理的配慮について学ぶ
第12回インターネット依存について学ぶ
第13回大学生のメンタルヘルスについて学ぶ
第14回まとめと試験
第15回試験解説