リスクと保険特講Ⅰ
担当者前川  正教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [経済学研究科 経営学専攻]
科目ナンバリング

授業の概要(ねらい)

保険会社のERM(全社的リスク管理)は、保険会社の新しい経営の考え方として関心が高まっています。さらに国際および国内監督規制・欧州におけるソルベンシーⅡの導入・格付会社のERM評価など様々な観点からも焦点が当たってきています。保険会社のERM経営をどのように実践・実行していくか、について欧州のERM先進保険会社の例等を参考にしてERMに関する基本的な理論を整理していきます。現代における保険会社の競争力の根源は「資本とリスクと収益」の三つを前提として財務健全性を維持しながら企業価値を向上させる仕組みとしての保険ERM経営であると考えられます。さらに保険ERMは資本とリスクと収益の三つを前提とした合理的意思決定に関わるものとして経営戦略そのものであるといえます。リスクと保険特講Ⅰでは、保険ERMに関する基本的な理論について学んでいきます。

授業の到達目標

①ERMに関する基本的な理論を修得することができます。
②欧州のERM先進保険会社の状況について理解することができます。
③保険ERM(ストレステスト・リバースストレステスト等)の基本的な考え方を説明することができます。

成績評価の方法および基準

課題レポート    70%
プレゼンテーション 20%
ディスカッション  10%

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『保険ERM戦略ーリスク分散への挑戦』米山高生・酒井重人[編著]保険毎日新聞社
教科書『保険ERM経営の理論と実践』損害保険事業総合研究所[編]
ERM経営研究会[著]
金融財政事情研究会

準備学修の内容

当日の講義は前回講義の各自の復習をもとに進めますので次のような準備学修課題を課します。
①前回講義で使用したパワポ資料は前回講義の翌日にはLMSにアップ、復習を兼ねてパワポ資料を熟読してください。
②講義内容に関連する文献等(各回講義の中で都度参考文献は紹介)の自主学習に取組んでください。
③当日の講義ではレジュメを配布しますので講義内容の重要点を補記し復習に活用してください。
④課題レポートの作成(複数回)

その他履修上の注意事項

①欠席及び公欠の扱いについては原則大学の規定にフォローします。
②他の受講生の迷惑にならないように最低限の授業におけるマナーは厳守してください。
③受講に対してとくに対応が必要な場合(病気・ケガ・障害)は遠慮なく申し出てください。
④授業をよりよくしていく上での意見・感想・コメントも遠慮なく連絡ください。

授業内容

授業内容
第1回オリエンテーション-自己紹介・授業の進め方・成績評価の方法および基準・準備学修の内容等の概要説明
第2回保険ERM態勢のあり方(1)
経営にリスク・ガバナンスの強化を促す保険ERM
第3回保険ERM態勢のあり方(2)
保険ERMの具体的に大事な点は何か・ERMのピットホール
第4回欧米の保険会社でのERM進展(1)
ERM進展の背景・リスク管理の枠組みとガバナンス構造
第5回欧米の保険会社でのERM進展(2)
リスク文化とリスクアペタイト・個別リスク管理・ストレステスト
第6回保険行政とERM
保険行政とERM・ERM重視の背景・行政によるERM推進のメリットとデメリット
第7回ストレステストとストレスシナリオ(1)
ERMとストレステスト
第8回ストレステストとストレスシナリオ(2)
ストレステストの手順と手法
第9回ストレステストとストレスシナリオ(3)
経営対応の決定と実務上の論点ー保険会社特有の検討課題
第10回ストレステストとストレスシナリオ(4)
リバース・ストレステストの実務
第11回ERMと経済価値評価(1)
ERM最大の難関・研究会での議論
第12回ERMと経済価値評価(2)
金融商品の現価を考える・会計価値と経済価値
第13回ERMと経済価値評価(3)
パフォーマンス評価との整合性・経済価値評価の課題とその克服に向けて
第14回格付会社におけるERM評価
S&PにおけるERM評価の進展・保険会社の格付基準・ERMの評価基準・S&Pによる保険会社のERM評価
第15回総まとめ