世界の情勢(アメリカ)Ⅱ
担当者西田 令一教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [総合基礎科目]
科目ナンバリングARS-108

授業の概要(ねらい)

 トランプ政権は、大統領選挙中のスローガンの1つに据えた「米国第一主義」を前面に押し出して、経済政策面で保護貿易主義的傾向を、外交・安全保障政策面では孤立主義的傾向を強めています。
 秋期の授業では、米国の歴史を概観しトランプ氏登場の背景や政治的仕組みを中心に見た春期から、対外経済政策、外交・安保政策へと軸足を移し、「トランプのアメリカ」って何だ、どこへ行くのか、を探っていき考えていきます。
 アメリカは新興諸国、とりわけ中国の台頭とともに、相対的に力を落としてきたとはいえ、今も唯一の超大国であることに変わりはありません。政策の大転換を掲げる大統領であれば、その一挙手一投足はそれだけ大きく国際情勢を左右します。
 中でも、貿易協定の再交渉・離脱や製造業の国内移転政策が、世界経済にどんな変化をもたらすのか、米国と中国や欧州との関係がどうなるのかが注目されるところです。もちろん、日米関係への影響も劣らず重視して授業を進めます。

授業の到達目標

 春期に引き続き、アメリカの政治、外交、経済、社会について関心を抱き、基礎的な知識を身につけること、その結果として、米国を見る目を持てるようになることを目標とします。授業で蓄積したものが、大学で他の科目を学習する際も、卒業し実社会に出てからも役立つようになることを目指す点も変わりません。

成績評価の方法および基準

 春期と同様、最終回の授業内に基礎知識と理解度を試すテストを実施し、その出来具合に最大の比重を置き、授業への参加態度も加味して評価します。テストは、選択問題と論述問題の2本立てで、教材などの持ち込みは認めません。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書秋期でも、プリントした教材を毎回、用意します。「アメリカ」に関して大学で行う授業ですから、教材の資料部分には英語を使用しますが、必ず日本語の対訳を施します。春期と同じく、動画もほぼ毎回、使用して、取り上げるテーマを視聴覚的に理解できるように工夫します。
参考文献

準備学修の内容

 トランプ政権の注目度は、良きにつけ悪しきにつけ、歴代米政権のそれを上回っていて、関連のニュースはかなり増えています。秋期でも、新聞、テレビ、インターネットなどで伝えられるその動きに、できるだけ日ごろから目を向けるようにしておいてください。

その他履修上の注意事項

 特定の教科書があって、それに沿っての授業ではなく、生の動きに合わせた授業が多くなるのは、秋期も同じです。講義することがほぼすべてとなりますので、積極的に参加する姿勢が求められます。

授業内容

授業内容
第1回 イントロダクション(授業の進め方と目標、成績評価の方法、授業への準備、心構えなどの説明を受ける)。
第2回 米紙ワシントン・ポストの記者2人が調査報道によってニクソン大統領を退陣に追い込んだ1970年代のウォーターゲート事件を描いた映画『大統領の陰謀』の前編を視聴する。
第3回 ポスト紙とニクソン政権の攻防が頂点に達する『大統領の陰謀』後編を視聴する。
第4回 2016年米大統領選でクリントン候補の当選阻止に動いたロシアのプーチン政権とトランプ陣営が結託したとの「ロシア疑惑」と比較しつつ、ウォーターゲート事件の今日的意味を学ぶ。
第5回 現前大統領の国連演説を比較することでトランプ氏の政策の方向性について学ぶ。
第6回 トランプ政権が多国間協定離脱・再交渉で戦後通商政策を転換させたことを学ぶ。
第7回 トランプ政権下で外交・安保政策も戦後の国際協調路線から転換したことを学ぶ。
第8回 貿易摩擦から将来的な覇権争いへと発展してきた米中対立の深刻化について学ぶ。
第9回 トランプ政権下での日米関係とその基軸であり続ける日米安保条約について学ぶ。
第10回 次期米大統領選を1年後に控えた国内状況を、トランプ氏再選の行方を軸に学ぶ。
第11回 「虚」と「実」の仕切りが薄れてしまった「トランプのアメリカ」について学ぶ。
第12回 首のすげ替えが目まぐるしいトランプ人事と、米国の政治任用制度について学ぶ。
第13回 米司法府が持つ重みと、トランプ政権下で保守に傾いた連邦最高裁について学ぶ。
第14回 トランプ政権下でアメリカの巨大IT企業ビッグ5に吹き付ける逆風について学ぶ。
第15回 秋期授業のおさらいと授業内テスト