担当者 | 杉浦 史和教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [経済学科] | |
科目ナンバリング | ECT-302 |
現在、世界の多くの国で政治の不安定化が起こっています。グローバル化が進んだ結果、人々の経済格差が拡大し、その不満が政治の世界に及んでいます。ではグローバル化はどうして起こったのでしょうか。その背景にあるのが、1990年前後に東側の国々、社会主義経済体制が崩壊したことが挙げられます。それまで東西冷戦の状況のもとで、西側諸国は社会主義の脅威を意識しながら、経済運営を行っていました。その中で経済格差はあまり拡大しすぎないように抑えられてきました。しかし社会主義体制の崩壊後は、資本主義の体制こそが人類のあるべき経済体制であるとして、市場経済に基づく弱肉強食の世界が急拡大したのです。
こうして考えてみると、経済体制のあり方は人間社会のあり方に大きな影響を与えていると言っていいでしょう。現実には、社会主義の経済体制を再び試みることはできません。なぜなら、社会主義経済体制には大きな欠陥があり、その結果崩壊してしまったからです。他方、資本主義のあり方も、単に一種類というわけではなさそうです。それは、現在グローバル化のもとで、深刻な政治危機を迎えている国と、そうでない国があるからです。
このように、この講義では、我々の社会にとって望ましい経済体制のあり方を考察します。日本経済の今後のあり方を考えるためにも不可欠な知識を、この講義で身につけていきましょう。
経済体制論と開発経済論の関係を総合的に理解できること、中国の発展モデルとその特徴を理解できること、および中国の経済発展の経験を様々な国の経済体制論の比較から批判的に検討できること。
期末テスト48点、スマートフォンアプリのRESPONを使ったリアクションペーパー提出14点、授業の確認クイズをLMSで提出39点。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 『開発経済学と現代中国』 | 中兼和津次 | 名古屋大学出版会 |
参考文献 |
毎回授業終了時にリアクション・ペーパーを記入してもらいます。授業の内容に関する感想や質問、意見を記してください。これは出席点となるほか、重要な質問については次回授業で振り返りを行います。またLMSを利用して、毎回、簡単なクイズを出題します。これに答えることで、授業内容の定着を図り、また授業への出席を促します。授業に参加することで解答のヒントが得られるので、必ず出席してください。
この講義はパワーポイントを利用した解説を柱としています。レジメは毎回授業前にLMSにアップロードします。各自、レジメを事前にダウンロードして目を通しておいてください。授業ではできるだけ前列に座るようにして下さい。また日常生活のなかで、新聞・雑誌などに載っている関連記事に目を通しておくことを希望します。質問は授業中でもそれ以外でも歓迎します。授業の出席は重要です。
教室内では、脱帽、携帯電話や電子機器の使用禁止、私語を慎むなど、他の受講生の迷惑にならないだけでなく、積極的に授業に参加して学習効果を高めるよう心がけて下さい。
回 | 授業内容 |
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第1回 | 授業オリエンテーション:授業の進め方、成績評価の方法、経済体制論の成立と発展 |
第2回 | 中国の経済体制(1):理論と実際、開発経済論と経済体制論 |
第3回 | 中国の経済体制(2):中国経済の発展の歴史、毛沢東と鄧小平 |
第4回 | 中国の経済体制(3):中国経済の発展の歴史、改革開放から世界の工場へ |
第5回 | 中国の経済体制(4):ルイス・モデルと中国の転換点 |
第6回 | 中国の経済体制(5):人口転換と人口ボーナス |
第7回 | 中国の経済体制(6):外向型発展モデルと貿易・投資 |
第8回 | 中国の経済体制(7):雁行形態論・キャッチアップ型工業化論 |
第9回 | 中国の経済体制(8):開発独裁モデル |
第10回 | 中国の経済体制(9):中国モデルの適用可能性 |
第11回 | 経済体制の将来(1):ソ連モデルと中国モデルの比較 |
第12回 | 経済体制の将来(2):米国の経済体制と中国の経済体制の比較 |
第13回 | 経済体制の将来(3):北欧の経済体制と中国の経済体制の比較 |
第14回 | 経済体制の将来(4):日本の経済体制と中国の経済体制の比較 |
第15回 | 総まとめとテスト |