経済体制論Ⅰ
担当者杉浦 史和教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [経済学科]
科目ナンバリングECT-301

授業の概要(ねらい)

 現在、世界の多くの国で政治の不安定化が起こっています。グローバル化が進んだ結果、人々の経済格差が拡大し、その不満が政治の世界に及んでいます。ではグローバル化はどうして起こったのでしょうか。その背景にあるのが、1990年前後に東側の国々、社会主義経済体制が崩壊したことが挙げられます。それまで東西冷戦の状況のもとで、西側諸国は社会主義の脅威を意識しながら、経済運営を行っていました。その中で経済格差はあまり拡大しすぎないように抑えられてきました。しかし社会主義体制の崩壊後は、資本主義の体制こそが人類のあるべき経済体制であるとして、市場経済に基づく弱肉強食の世界が急拡大したのです。
 こうして考えてみると、経済体制のあり方は人間社会のあり方に大きな影響を与えていると言っていいでしょう。現実には、社会主義の経済体制を再び試みることはできません。なぜなら、社会主義経済体制には大きな欠陥があり、その結果崩壊してしまったからです。他方、資本主義のあり方も、単に一種類というわけではなさそうです。それは、現在グローバル化のもとで、深刻な政治危機を迎えている国と、そうでない国があるからです。
 このように、この講義では、我々の社会にとって望ましい経済体制のあり方を考察します。日本経済の今後のあり方を考えるためにも不可欠な知識を、この講義で身につけていきましょう。

授業の到達目標

 経済体制を形作る基本的な概念を理解できること、資本主義と社会主義の特徴とその差異を比較しながら理解できること、および資本主義体制を取る国々における相違を理解できること。

成績評価の方法および基準

 期末テスト48点、スマートフォンアプリのRESPONを使ったリアクションペーパー提出14点、授業の確認クイズをLMSで提出39点。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書特に教科書は指定しません。必要な参考文献は授業中に指定します。
参考文献

準備学修の内容

 毎回授業終了時にリアクション・ペーパーを記入してもらいます。授業の内容に関する感想や質問、意見を記してください。これは出席点となるほか、重要な質問については次回授業で振り返りを行います。またLMSを利用して、毎回、簡単なクイズを出題します。これに答えることで、授業内容の定着を図り、また授業への出席を促します。授業に参加することで解答のヒントが得られるので、必ず出席してください。

その他履修上の注意事項

 この講義はパワーポイントを利用した解説を柱としています。レジメは毎回授業前にLMSにアップロードします。各自、レジメを事前にダウンロードして目を通しておいてください。授業ではできるだけ前列に座るようにして下さい。また日常生活のなかで、新聞・雑誌などに載っている関連記事に目を通しておくことを希望します。質問は授業中でもそれ以外でも歓迎します。授業の出席は重要です。
 教室内では、脱帽、携帯電話や電子機器の使用禁止、私語を慎むなど、他の受講生の迷惑にならないだけでなく、積極的に授業に参加して学習効果を高めるよう心がけて下さい。

授業内容

授業内容
第1回 授業オリエンテーション:授業の進め方、成績評価の方法、経済体制論の成立と発展
第2回 経済体制論の見方(1):様々な経済体制、社会主義と資本主義
第3回 経済体制論の見方(2):様々な経済体制、資本主義の多様性
第4回 経済体制論の見方(3):様々な経済体制、所有制と調整様式
第5回 社会主義経済体制(1):理論と実際、ソ連の成立と発展
第6回 社会主義経済体制(2):社会主義の多様性、ソ連、ハンガリー、中国
第7回 社会主義経済体制(3):社会主義の崩壊、社会主義の理想と現実
第8回 社会主義経済体制(4):社会主義崩壊後の社会主義、グローバル化と社会主義の将来
第9回 社会主義経済体制(5):社会主義に替わる経済体制は存在するか
第10回 資本主義経済体制(1):資本主義の生成と発展
第11回 資本主義経済体制(2):資本主義を支える理論と現実
第12回 資本主義経済体制(3):資本主義の多様性、アメリカとヨーロッパ
第13回 資本主義経済体制(4):資本主義の多様性、日本とアジア
第14回 資本主義経済体制(5):資本主義の多様性、グローバル化と資本主義の将来
第15回 総まとめとテスト