保育内容の指導法(表現Ⅱ)
担当者水島 ゆめ
単位・開講先選択  2単位 [初等教育学科 初等教育コース]
科目ナンバリングESS-325

授業の概要(ねらい)

 造形による表現は、子どもの生活にとって大切な「環境」を提供しています。それは、「形や色やイメージ」、そして「モノの肌触り(質感)」などを通した活動を、十分楽しみ味わうことで、子どもの感性を高め、表現力を豊かにし、創造力の芽生えを培うからです。
 こうした活動にかかわる指導者が、造形表現への苦手意識や、子どもの表現を大人の思い描く「鋳型(いがた)」にはめようとする意識をもっていては、子どもの主体性を育むことはできません。
 授業では、さまざまな造形表現の実習を通して、受講生自らが活動を十分楽しみながら、子どもの造形表現の題材や指導法を身に付けていきます。
 造形活動における、①「材料(場所)」、②「操作(行為)」、③「イメージ(思い)」の3つの要素から、自分で感じたり、つくったり、表したり、鑑賞したりする活動を楽しみながら行います。また、子どもの作品、映像、写真なども資料にして具体的に事例を紹介していきます。

授業の到達目標

 ・幼児の造形教育の基礎的な知識・技能を身に付ける。
 ・発想や構想の能力を高め、創造的な技能を働かせ、自分なりの造形表現や鑑賞活動ができるようにする。
 ・幼児の造形教育の実践的指導力を身に付ける。
 ・学習内容を「ポートフォリオ」にまとめ、自分なりに省察する。
 ・最終課題のアートブック「創作絵本」制作では、特定の対象者に読み聞かせを行ない、リフレクションの場とする。

成績評価の方法および基準

 ①「ポートフォリオ」「創作絵本」作成と提出。60%
  ・配布資料を保管し読んでいるか。
  ・学習内容や活動を記録し明示しているか。
  ・学習内容や活動への自分の考察を書いているか。
  ・学習内容や活動を美的に構成し、まとめているか。
 ②授業での主体的な表現活動と鑑賞活動。20%
 ③授業への関心・意欲・態度。20%
 …以上の観点から総合的に判断します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書テキスト 特にありません。随時資料を配布します。
参考文献『幼稚園教育要領解説』(文部科学省) 『幼保連携型 認定こども園 教育・保育要領 解説』
参考文献『保育所保育指針解説書』(厚生労働省)
参考文献『絵本と社会(絵本学講座3)』(朝倉書店)
参考文献『しかけ絵本の基礎知識Pop-Up』(大日本絵画)

準備学修の内容

 ◯「ポートフォリオ」は、各自、写真等を印刷し、配布資料とともに、所定のスケッチブックに作成してください。
 ◯「ポートフォリオ」は、授業を振り返りながら、コツコツと作成してください。
 ◯必要に応じ、制作に使用する身近な材料を探して持参してください。
 ◯授業で紹介した「展覧会」「児童作品展」「造形教育関係の施設」などに足を運び、鑑賞したり、見学したりするなど、造形教育への見聞を高めてください。

その他履修上の注意事項

 ◯子どもの気持ちや視線をもって活動し、実際の指導に生かせるようにイメージしながら受講してください。
 ◯実技を中心とした授業です。汚れてもよい服装で参加ください。
 ◯友人との共同の活動や後片付けなどの環境設定等に気を配りながら活動してください。
 ◯進度や学習状況で、内容を適時変更する場合がありますので、留意ください。

授業内容

授業内容
第1回 ・オリエンテーション(授業計画、評価、授業を受けるにあたっての留意事項など)。
第2回 ・「造形表現」の目的、内容、方法、子どもの発達の特性、基本的な造形の原理などについて概要を学ぶ。
第3回 ・いろいろな素材に親しむ①(身の回りにある自然材や人工材を生かして遊ぶ)。
第4回 ・いろいろな素材に親しむ②(フィンガーペインティングなど体の感覚を生かして遊ぶ)。
第5回 ・感じながら表す①(クレヨン、絵の具などの描画材を活用して表す)。
第6回 ・感じながら表す②(いろいろな紙で、コラージュなどの方法を活用して表す)。
第7回 ・感じながら表す③(モダンテクニックを通して)。
第8回 ・機能や用途をもとにしてつくる(ポップアップー飛び出す仕組み)。
第9回 ・遊びや生活のなかで、楽しく飾ったり遊んだりする造形表現。
第10回 ・共同の製作(友達とかかわりながら、協力して造形活動を楽しむ)。
第11回 ・指導計画案の作成(これまでの受講経験をもとに自分で題材をつくってみよう)。
第12回 ・創作絵本「アートブック」① 今日の絵本と絵本鑑賞、創作絵本の「発想と構想」。
第13回 ・創作絵本「アートブック」② 制作。
第14回 ・創作絵本「アートブック」③ 制作及び、授業の振り返り(「ポートフォリオ」の作成)。
第15回 ・創作絵本「アートブック」④ 発表会、「ポートフォリオ」の提出、相互評価。