西洋史特殊講義1B-Ⅰ
担当者
単位・開講先選択必修  2単位 [史学科]
科目ナンバリングHEA-201

授業の概要(ねらい)

「歴史の父」と言われる古代ギリシアの歴史家ヘロドトスの『歴史』から、第1~3巻をていねいに読み、歴史を描くとはどういうことかを学ぶ。へロドトスはペルシア人とギリシア人が戦った大戦争=ペルシア戦争がなぜ起きたのかを探求するため、当時のギリシア人に知られていた限りの世界を広く旅行して資料を収集し、それをもとに9巻の歴史作品を執筆した。それは今日でいう歴史学にとどまらず、地理学、考古学から人類学、宗教学など広大な学問分野にまたがり、ペルシア帝国の興隆を軸として、当時のギリシア世界の成り立ちを理解しようとする壮大な試みである。彼の作品は多様な主題を持つ物語によって精巧に組み立てられ、彼の並外れた構想力を示す反面、精彩に富むものの真偽の定かでない逸話が数多く含まれている。それゆえ彼の作品を正当に理解するためには、個々の逸話の史実性を検証すると同時に、彼が物語の叙述に込めた意図を読み取らねばならない。このようにへロドトスの読解は、歴史を学ぶのに必要な基礎的な方法を習得するのに格好の素材なのである。この授業の目的は、テキストの読解を通じて、過ぎ去った世界から一つの歴史を構築し、それを叙述する方法を学ぶことにある。

授業の到達目標

個々の物語の内容と意図を正確に読み取り、適切に要約できること
一つひとつの逸話の史実性を正しく検証し、その真偽を判別できること

成績評価の方法および基準

中間試験(40%)・期末試験(60%)

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書歴史(上)へロドトス岩波文庫
参考文献

準備学修の内容

次回の授業で取り上げる範囲をあらかじめ通読してくること

その他履修上の注意事項

毎回の授業で小さな課題を出し、B5の答案用紙に書いて提出してもらう。その提出をもって出席を認定する

授業内容

授業内容
第1回オリエンテーション
古代ギリシア史概説、へロドトスとその時代
第2回リュディア王国史・クロイソスとソロンの対話(第1巻2~45章)
第3回デルフォイの神託・クロイソスの敗北と改心(第1巻46~94章)
第4回メディア王国史・キュロスの生い立ちと決起(第1巻95~130章)
第5回ペルシア帝国の勃興・小アジアのギリシア諸都市(第1巻131~176章)
第6回バビロンの歴史とその陥落・キュロスの最期(第1巻177~217章)
第7回前半のまとめと中間試験
第8回答案の返却とコメント
エジプトにおけるギリシア人(第2巻152~182章)     
第9回カンビュセスのエジプト遠征と彼の「狂気」(第3巻1~38章)
第10回マゴス僧の王位簒奪・7人の同志の決起・国制論争(第3巻61~87章)   
第11回ビーソトゥーン碑文とダレイオス即位の真相
アカイメネス朝の創出と帝国支配体制(88~117章)
第12回ペルセポリスに見るアカイメネス朝の王権理念
第13回 ペルシア戦争とそれ以降のギリシア・ペルシア関係
第14回ギリシア人のペルシア観
ペルシア王家の女性たち
第15回後半のまとめと期末試験