西洋政治思想史Ⅱ
担当者
単位・開講先選択  2単位 [史学科]
科目ナンバリングHIT-206

授業の概要(ねらい)

 前半はルネサンス期フィレンツェの政治家・思想家・芸術家を取り上げ、彼らの著作と絵画作品に込められた政治思想を読み解く。近代以前の重要な芸術作品は、国王やローマ教皇といった権力者が、特定の政治状況の下に明確な意図をもって注文した公共財である。それゆえ芸術作品は政治思想研究の素材となりうる。芸術作品を歴史学の目で読み解くことの面白さを味わってもらいたい。
 後半はナチス・ドイツとホロコーストに関する代表的な著作を読み、ナチスという歴史現象が提起する思想的な問題点を明らかにする。そこから得られる教訓は、現代日本の政治がはらむ諸問題を根本的に考察するのに不可欠である。

授業の到達目標

 図像史料を見て、その作品記述ができること
 図像に込められた政治思想を、当時の歴史的文脈に照らして読み取り、その内容を的確に表現できること
 ファシズムとホロコーストの思想的諸問題を理解して、自分なりの教訓を引き出すこと

成績評価の方法および基準

 中間試験50%、期末試験50%

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書毎回プリントを配布する。
参考文献

準備学修の内容

 授業終了後にプリントとノートを読み直しておくこと

その他履修上の注意事項

 毎回小さな課題を出して答案を書いてもらい、その提出をもって出席を認定する

授業内容

授業内容
第1回 オリエンテーション:図像史料研究の方法
 フィレンツェ史概説
第2回 メディチ家の支配と芸術活動 
第3回 サヴォナローラの改革思想と神聖政治
第4回 教皇庁におけるラファエロのフレスコ画
第5回 マキアヴェリ『君主論』:政治思想の革新
第6回 フィレンツェ共和政とミケランジェロ  
第7回 トスカナ大公コジモ1世の芸術政策 
第8回 ヴェッキオ宮殿五百人広間の図像分析
第9回 前半のまとめと中間試験
第10回 答案の返却とコメント
 ナチス・ドイツ史概説
 フロム『自由からの逃走』:ナチズムの心理的基盤
第11回 フランクル『夜と霧』:強制収容所の精神分析
第12回 ハンナ・アーレント『全体主義の起源』:反ユダヤ主義からホロコーストへ
第13回 ハンナ・アーレント『エルサレムのアイヒマン』:凡庸な悪
第14回 映画『ハンナ・アーレント』鑑賞
第15回 後半のまとめと試験