西洋史籍講読1B-Ⅰ
担当者
単位・開講先選択必修  2単位 [史学科]
科目ナンバリングHEA-209

授業の概要(ねらい)

 古代ギリシアの代表的な古典作品を読み、一字一句にこだわりながら、歴史的背景をふまえて自分なりの解釈ができるようにする。
 前半はギリシア悲劇から、ソフォクレスの2つの作品を取り上げる。いずれも人間はなぜ生きるのか、幸福とは何か、運命をどう受け止めるのか、愛とは何かといった、根本問題を提起している。その読解を通して、こうした人文学本来の大きな問題に向き合い、深く考察する力を身につけてもらいたい。
 後半はトゥキュディデスの『歴史』を取り上げる。この作品は、アテネとスパルタの間でギリシア世界を二分したペロポネソス戦争(前431~404年)を記述したもので、西洋では政治家や軍人の座右の書となってきた。政治学や国際関係論における必読文献でもある。トゥキュディデスは、政治と戦争にかかわる人間の心理や、そこに内在する論理を深く洞察した。挿入された政治家たちの演説を中心に読んでいき、何が国家・政治・戦争を動かすのかという問題を考えていく。

授業の到達目標

 テキストの一字一句を厳密に読み、歴史的背景をふまえながら正確にその意味を理解できること
 提示された論点について自分なりの解釈をまとめ、討論し、発表ができること
 以上を通じて、読む・書く・聴く・討論する・発表するという、日本語の総合的な運用能力を高めること

成績評価の方法および基準

 毎回の予習課題の発表、およびグループ討論と全体発言における積極性による

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『オイディプス王』  ソポクレス岩波文庫
教科書『アンティゴネー』ソフォクレス岩波文庫
教科書『歴史1』トゥキュディデスMELICの指定図書を利用
参考文献

準備学修の内容

 次回の予習課題を必ずこなしてくること
 発声練習を自宅で毎日行うこと

その他履修上の注意事項

 授業の冒頭で発声練習を毎回行うので、声を出すのが嫌いな者は決して受講しないこと
 90分間ぼんやりしている暇はないので、集中力を切らさないこと
 夏休みに読書の宿題を出す

授業内容

授業内容
第1回オリエンテーション
古代ギリシア史概説・ギリシア悲劇入門・テキスト解説
第2回『オイディプス王』その1:オイディプスの人物像、神託とは何か
第3回『オイディプス王』その2:イオカステーはいつ真実に気付いたか
第4回 オイディプス王とテーバイのその後(プリント配布)
『コロノスのオイディプス』『テーバイを攻める七人の将軍』朗読会
第5回DVD『オイディプス王』鑑賞
第6回『アンティゴネー』その1:作品の基本的対立軸は何か
第7回『アンティゴネー』その2:アンティゴネーとクレオンの人物像
第8回『アンティゴネー』その3:573行の台詞はアンティゴネーかイスメーネーか
第9回アテネとスパルタの国制・デロス同盟からアテネ帝国へ
トゥキュディデス『歴史』序論および歴史叙述の方法
第10回スパルタにおけるコリントス使節の第一演説
第11回スパルタにおけるアテネ人使節の演説、アルキダモス王の演説
第12回アテネの海上支配とペリクレスの戦略
第13回ペリクレスの国葬演説
第14回疫病の流行・ペリクレスの最期
第15回発表会ないし演説会