担当者 | 小沢 健市 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [観光経営学科] | |
科目ナンバリング | MAN-217 |
われわれは日々さまざまなリスクに遭遇している.かつて経済学では,リスクは確率計算可能な事象を,不確実性は確率計算できない事象という区別が存在していたが,現在は,リスクと不確実性を同一概念とみなす傾向が強くなっている.この講義では,受講生にリスクとは何か,そしてそれに対する対処方法等を理論を踏まえながら説明する.ただし,この科目は観光学科の学生諸君が対象であるので,観光におけるリスクにはどのようなリスクが存在し,実際にどのようなリスクに観光者や観光関連企業は直面してきたのか, その 具体例を取り上げ,それを理論的に再考するということ,換言すれば,リスクを扱う理論を学びながら,現実のリスクは理論上どう説明可能かを受講生に解説し,かつ理解させることがこの講義のねらいである.換言すれば,リスクに関する基礎的な諸理論を学び,それを現実の事象,特に観光にかかわるリスクを分析するためにどう利用可能かを受講生に理解させることである.
経済学におけるリスク理論を受講生に理解させること,そしてそれを現実のリスクの分析に適用し,受講生のリスクに対する意識や態度を変え,リスクにはどうすれば対処可能か,そして回避するためにはどうすればよいかを,受講生に考えさせ,リスク回避の手法を学ばせ,現実に生じるリスクにどう対処すればよいかを理解させることがこの講義の到達目標である.
成績は,期中のリポートと期末のリポートの2点で評価するが,前者のウエイトは40パーセント,後者のそれは60パーセントである.ただし,講義の欠席が全講義回数(15回)の三分の一以上の受講生の成績評価は行わない.
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 毎回の講義時にプリントを配布する.ただし,欠席者には,原則として,配布しない. | ||
参考文献 | 『リスクと情報:新しい経済学』 1991年 | 酒井泰弘 著 | 勁草書房 |
復習を毎授業後1時間必ず励行し,その際には重要な専門用語や理論の内容を簡潔にノート等にまとめることが必要.
可能であれば,「情報の経済学」にかかわる科目の履修が望ましい.
回 | 授業内容 |
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第1回 | 講義に際してのオリエンテーションと観光における最近のリスクの事例の紹介 |
第2回 | 生活のなかのリスク:我々はリスクに取り囲まれて生活している:リスクと不確実性の相違の説明 |
第3回 | 観光活動にリスクは多大の影響を及ぼしている:地震や津波,異常気象,交通事故やその他の事故の観光への影響と損失 |
第4回 | 情報の不完全性とリスクとの関係:情報の不完全性がリスクを大きくする |
第5回 | リスクの基礎理論1:我々の合理性は限定されているのか |
第6回 | リスクの基礎理論2:期待効用仮設の説明 |
第7回 | 情報の不完全性とリスク:観光における情報の不完全性は同一の財・サービスの価格に影響する |
第8回 | レポートの課題の提示とレポートの書き方の説明 |
第9回 | 観光には自由な時間(余暇時間)が必要であるが,観光は将来行うものであり,現段階では決定ではなく,その決定にはリスクが伴う |
第10回 | 観光者の将来所得と観光財・サービスの将来価格のリスク |
第11回 | 観光関連企業にとって観光者の突然のキャンセルはどう影響するか:キャンセルのリスク |
第12回 | 海外渡航に関する情報は観光者にとってリスク回避の有益な手段か |
第13回 | 観光のリスクの具体例を参考にリスク回避をするには何が必要か:リスク分散のためには |
第14回 | 日常の中でリスクは突然やってくる:観光者はリスクにどう対処すればよいか |
第15回 | 講義のまとめと期末のリポートの課題提示,そしてリポートの書きかたの注意 |