経営学演習Ⅲ
担当者小沢 健市
単位・開講先必修  4単位 [経済学研究科 経営学専攻]
科目ナンバリング

授業の概要(ねらい)

 本演習では,観光関連企業の理解にとって不可欠なマーケティングの基礎理論を学ぶことにしたい.マーケティングは観光のみならずいかなるサービス産業にとっても欠かせない販売促進や新商品の創造に不可欠である.例えば,観光を例にとると,観光立国宣言以来,訪日観光者数は毎年増加しているが,訪日観光者がどのような商品やサービスに支出してるかが多数の人々や企業(小売店や大規模小売店)の重要な関心事になっている.初期の段階では,日本の家電製品が売れ筋であったが,最近では化粧品や薬剤が売れ筋と変化してきている,との報道をしばしば見聞きする.来日観光者の所得水準や嗜好の変化等を考慮しながら,売れ筋の商品となるような商品は何かを見出すことは,観光関連企業にとって極めて重要な問題である.その分析をするための理論的基礎を提供してくれる手法がマーケティングである.したがって,その基礎理論を学び,理解しておくことは,観光を研究対象にしようと考えている大学院生には極めて意義があると考えられる.この演習では,マーケティングの基礎理論とその理論の現実への応用を大学院生に提供し理解させることが狙いである.

授業の到達目標

 マーケティング理論はまさに日進月歩であり,したがって,受講生はマーケティングの諸概念・基礎理論・最新の理論を理解し,それらを現実問題への適用し分析するための道具としての応用力を養うことが本演習の到達目標である.基礎理論と最新の理論の習得とその応用を研究することは極めて重要であり,受講生の研究の進展のためにも不可欠であるからである.

成績評価の方法および基準

 受講生の問題・課題に対するディスカッションへの参加とその発言内容,そして受講生各自のプレゼンテーションの内容の2点で評価する.これら2点のウエイトはそれぞれ50パーセントとする.

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『わかりやすい マーケティング戦略(新版)』 2008年沼上 幹 著有斐閣アルマ
参考文献『企業戦略を考える』2013年浅羽 茂・須藤 実和 著日本経済新聞出版社

準備学修の内容

 予習・復習を毎週それぞれ1時間程度励行すること.さらに予習・復習では,重要な専門用語や理論,そして応用を各自ノート等に簡潔にまとめおくことが不可欠である.

その他履修上の注意事項

 マーケティングに関する書物を他に少なくとも1冊は必ず精読すること.

授業内容

授業内容
第1回 本演習のオリエンテーションと年間のスケジュールの説明
第2回 戦略的に思考することの重要性:学び方について
第3回 サービスとは:本質的サービスと補助的サービスを考える
第4回 製品販売のための流通を考える
第5回 販売促進について考える:広告や宣伝の役割
第6回 製品やサービスの価格の決定を考える
第7回 マーケティング・ミックスを考える
第8回 セグメンテーションについて考える
第9回 セグメンテーションの基準とは何かを考える
第10回 販売ターゲットはどう絞ればよいかを考える
第11回 製品にはサイクルがある:プロダクト・ライフサイクルを考える
第12回 製品販売導入期の戦略を考える
第13回 成熟期を迎えた製品の戦略を考える
第14回 製品の販売が衰退期を迎えたときの販売戦略を考える:新製品の創造
第15回 これまでの本演習のまとめと課題
第16回 リーダー,チャレンジャー,フォロワー,そしてニッチャーの戦略を考える
第17回 なぜ企業はシェア―ナンバーワンを目指すのかを考える
第18回 リーダーの戦略を考える
第19回 チャレンジャーの戦略を考える
第20回 フォロワーの戦略を考える
第21回 ニッチャーの戦略を考える
第22回 競争力の優位さを維持するための戦略とは何かを考える
第23回 ある製品やサービス業界の市場構造を考える
第24回 競争力の源泉を考える:利益潜在性を高めるには
第25回 企業間の対抗度・敵対関係について考える:それらを規定する要因とは
第26回 既存企業の新規企業の参入の脅威について考える
第27回 買手と売手の交渉力について考える
第28回 代替製品の脅威について考える:交差価格弾力性の概念とその計算方法を学ぶ
第29回 補完製品は脅威となるのか否かを考える:交差価格弾力性の概念と計算方法を学ぶ
第30回 この演習の年間のまとめ・この研究分野の今後を展望する