政治史(アジア)Ⅰ
担当者三輪 博樹教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [政治学科]
科目ナンバリングPOL-107

授業の概要(ねらい)

 近年、インド洋、南シナ海、西太平洋などを含む「インド太平洋地域」が注目を集めるようになっています。本科目では、この「インド太平洋地域」の国際関係とその歴史について、インドと南アジア地域を中心に理解することを目指します。
 春学期の授業では、新興国として注目されているインドの政治史と、インドの国内政治との関連が深いパキスタンとスリランカの政治史について講義を行います。授業の前半では、独立後のインドの政治史について、政治と社会および経済との関わりに重点を置いて説明します。後半では、パキスタンとスリランカの独立後の政治史について、テロや内戦などの紛争への対処の問題や、インドとの関係の変化などにも言及しながら説明します。
 各回(第1回を除く)の授業の終わりに、10分程度の小テストを行います。小テストでは、授業で学んだ知識を確認するだけでなく、授業で学んだ事柄に対して自分なりにどう考えるのか、各自の考え方や意見などをまとめていただきます。

授業の到達目標

 以下の3つを到達目標とします。(1)独立後のインド、パキスタン、スリランカの政治史に関して、基本的な知識を習得する。(2)各国の国内政治、社会構造、経済状況などが、それぞれの国の外交政策にも大きな影響を与えているということを理解する。(3)各国が抱えているさまざまな問題について、その原因や解決策などに関して自分なりの考えを提示できるようになる。

成績評価の方法および基準

 各回の小テストの合計点(40%)と、期末レポートの内容(60%)を合わせて評価します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 教科書は指定しません。各回の授業ごとに、講義内容をまとめたレジュメや関連資料などを配布します。
参考文献『現代南アジアの政治』堀本武功・三輪博樹 編放送大学教育振興会、2012年
参考文献『改訂版 インドのことがマンガで3時間でわかる本』関口真理 他明日香出版社、2015年

準備学修の内容

 第1回目の授業のときに、各回の授業内容の詳細について説明します。また、各回の授業で使用するレジュメはひとつ前の回の授業のときに配布しますので、レジュメや参考書などを事前に読んで予習を行い、疑問点などを明らかにしておいてください。

その他履修上の注意事項

 「政治史(アジア)I」と「政治史(アジア)II」、もしくは「政治史I」と「政治史II」を続けて履修することを強くおすすめしますが、この科目だけを履修した場合でも内容が理解できるように配慮します。

授業内容

授業内容
第1回イントロダクション:インドと南アジア地域をどのように理解するか
第2回インド(1):インドの政治制度、インドの民主主義をめぐる議論
第3回インド(2):カースト制度とは何か、カースト制度がインドの政治に及ぼしてきた影響
第4回インド(3):イスラム教とヒンドゥー教、宗教がインドの政治に及ぼしてきた影響
第5回インド(4):統治をめぐるイデオロギーの対立と、その歴史的経緯
第6回インド(5):インドにおけるアイデンティティ政治、その政党政治に対する影響
第7回インド(6):独立後の経済政策の変化、経済自由化のもたらした影響
第8回インド(7):2000年代以降のインド政治、アイデンティティ政治かガバナンスか
第9回パキスタン(1):独立後のパキスタンの政治史
第10回パキスタン(2):2000年代以降のパキスタン政治、テロとの戦い
第11回インド=パキスタン関係史:カシミール地方をめぐるインドとパキスタンの対立
第12回スリランカ(1):独立後のスリランカの政治史
第13回スリランカ(2):民族紛争の勃発から終結まで
第14回インド=スリランカ関係史:スリランカの民族紛争にインドはどう関わったか
第15回南アジアの国際関係:パキスタンとスリランカに対するインドおよび中国の外交・安全保障政策