学習心理学特論
担当者高田 孝二
単位・開講先選択  2単位 [文学研究科 臨床心理学専攻]
科目ナンバリング

授業の概要(ねらい)

 「嗜癖的行動」(addictive behaviors;行動のアディクション)は、米国精神医学会の診断基準であるDSMの第5版(DSM-5)において、これまでの物質依存(薬物依存)を改め、「物質関連障害および嗜癖性障害群」との分類を設けたことや、WHOのICD-11において新たに"gaming disorder"が加わったこと、さらに、我が国においてカジノ解禁を含む「IR推進法案」が成立したこととも相俟って、大きなテーマとなっている。「嗜癖」(アディクション)という用語に明確な科学的定義は存在しないが、この用語が用いられる対象となる行動は、強固かつ過剰な反復行動といえ、この点は、多くの問題行動に共通する特徴でもある。
 ここでは文献抄読により、依存の概念や研究法を学び、疾病としての依存症(行動のアディクションを含む)を含め、「強迫」など、類似の行動特性を有する障害についても概観し、なんらかの随伴性により形成維持された行動が「やめられない」状態になるメカニズムを、動物モデルを含め、考察する。さらに、薬物依存の形成や程度に性差がみられることから、上記の点に関する性差についても考察する。

授業の到達目標

 「嗜癖」(アディクション)について学修するとともに、「evidence-based」の考え方、方法論を学び、身につける。

成績評価の方法および基準

 発表・レポート・質疑内容(合わせて70%)、最終レポート(30%)で評価する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書テキストは文献(英文を含む)などより適宜配布。
参考文献『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(2013)米国精神医学会
参考文献ICD-11, 2018 version (https://icd.who.int/)
 06 Mental, behavioural or neurodevelopmental disorders
WHO
参考文献

準備学修の内容

 発表やレポートは、テキスト内容の紹介のみならず、独自の観点からの考察が必要となる。このため、テキストだけではなく、関連文献・情報を精査しておくこと。報道や著作物の内容を鵜呑みにせず、キイとなる事象については必ず「ウラ」をとる習慣を身に着けてほしい。これは、「evidence-based」の考え方の一環でもある。

その他履修上の注意事項

 「嗜癖的行動」の行動特性やその発現・修飾メカニズムを探ることは、いわゆる自助グループや、「治療共同体」の果たす行動学的意味の分析にもつながる。抄読文献は英文も視野に入れており、積極的な参加を期待する。

授業内容

授業内容
第1回 ガイダンス、抄読資料配布・割り当て
第2回 文献抄読・討議
第3回 文献抄読・討議
第4回 文献抄読・討議
第5回 文献抄読・討議
第6回 文献抄読・討議
第7回 文献抄読・討議
第8回 文献抄読・討議
第9回 文献抄読・討議
第10回 文献抄読・討議
第11回 文献抄読・討議
第12回 文献抄読・討議
第13回 文献抄読・討議
第14回 文献抄読・討議
第15回 総合討論、まとめ