博物館情報・メディア論
担当者宮澤 公雄
単位・開講先選択  2単位 [資格科目]
科目ナンバリングCAS-206

授業の概要(ねらい)

 博物館は、多種多様な資料を収集・保管している。これら資料は多くの情報をもち、そこから派生する二次資料もまた多彩な情報を内包していることから、博物館は多種多様な情報を有する社会教育施設であるといえる。博物館における情報の提供は、近代的な博物館設立当初からの主要な目的の一つでもあったが、デジタル技術やインターネットなど情報伝達手段の急速な発展に伴い、その方法も日々進化、多様化している。
 また、近年の市民による生涯学習意欲の向上もあり、博物館が行う情報提供の意義はますます重要性を増している。
 本講義では、博物館が有する情報の内容を学習し、その管理・活用を適正に行うため、以下の内容について学ぶ。
・情報の概念と情報倫理     ・情報の記録化と実践
・情報発信機関としての博物館  ・博物館活動と知的財産権

授業の到達目標

 学芸員として、博物館が保有する情報をいかに適正に管理しながら発信していくのか、博物館が置かれた現状を学習するとともに、インタラクティブな情報社会において、どのような方法を用いて博物館情報を社会に還元することが有効なのかを理解し、博物館情報の意義と提供・活用方法を学ぶことに主眼に置く。

成績評価の方法および基準

 期末試験の結果を重視するが、授業中に課すレポート、出席状況を総合して評価する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書テキストは使用せず、講義毎にレジュメを配布する。  
参考文献『博物館学Ⅲ 博物館情報・メディア論*博物館経営論』 大堀 哲ほか学文社 2012
参考文献『新時代の博物館学』 全国大学博物館学講座協議会西日本支部芙蓉書房出版 2012
参考文献『博物館情報・メディア論』 日本教育メディア学会ぎょうせい 2013
参考文献『博物館情報・メディア輪』 西岡貞一ほか放送大学振興会 2013
参考文献『新課程博物館学ハンドブック2』 米田文孝ほか関西大学出版部 2015

準備学修の内容

 自ら多くの博物館を積極的に見学し、情報機器の活用事例、情報をどのように扱っているかを体験すること。また、インターネット検索などにより、博物館がどのような情報をどのように発信しているのかを調べておくこと。
 科目の性格上、内容が多岐にわたるため、自ら学ぶ態度を養うことを望む。博物館が有する情報の整理・保管・活用は、博物館および学芸員にとってますます重要な業務となっていることを理解した上で授業に臨むこと。

その他履修上の注意事項

①遅刻・早退も出席状況に加味します。入室・退出には必ずカードリーダに学生証をかざしてください。
②学生証を忘れた場合は、授業終了後に申し出ること。

授業内容

授業内容
第1回オリエンテーション
第2回情報とメディア
 情報・メディアとは何か、博物館における情報
第3回ICT社会と博物館
 ICTとは何か、博物館におけるICT
第4回博物館と情報倫理
 メディアリテラシー、博物館における情報の取り扱い
第5回ドキュメンテーションとアーカイブ
 博物館情報の記録化
第6回デジタルアーカイブの論理
 デジタルアーカイブ、デジタル化のメリット・デメリット
第7回デジタルアーカイブの技術
 ドキュメンテーションの標準化、データの保存・媒体
第8回デジタルアーカイブの実例(1)
 デジタルアーカイブのプロセス、デジタル化作業
第9回デジタルアーカイブの実例(2)
 インターネットの利用とデジタルアーカイブ、ユニバーサルミュジアム
第10回情報機器の活用
 博物館における情報機器、情報機器導入の課題
第11回デジタルミュージアム
 デジタルミュージアムの歴史と課題
第12回情報発信とインターネットの活用(1)
 情報発信の意義、情報提供の方法
第13回情報発信とインターネットの活用(2)
 ソーシャルメディアの活用、インターネットの活用事例
第14回博物館活動と知的財産権
 博物館活動と法律、著作権法と博物館
第15回博物館情報・メディア論の展望
 博物館活動と情報の活用、情報発信機関としての博物館