心理療法はチェスのようなもので,基本的なルールやある種の定石は書物や講義によって学ぶことができるが,それから先は書物や講義ではとても困難だとされている。実際は,継続して個人的指導すなわち個人スーパービジョンを受けるか,自分自身が心理療法を受けることが望ましいとされているが,グループスーパービジョンやケースカンファレンスも有用である。
このようなグループでの事例検討では,もちろん現場での臨床的な当事者間のリアリティはある程度損なわれざるを得ないが,当事者間だけでは見失いがちな客観的視点を取り戻し,視野を広げ,技法や理論・病理などの理解を深め,孤立せずに支えを得ることが可能である。これは報告者だけではなく,参加者にも有用な方法であり,まさに,心理療法家となるうえで必須のトレーニングであるといえる。
本演習では,ケースカンファレンスでの討論に参加し,どのようにケースを見立て、見立てに対応した援助計画の立て方について学ぶ。つまり,詳細に報告された事例からケースの見立て方や面接の進め方を学び,さらに, 教員を含めた参加者とでなされる討論を通じて,様々な立場からのケースへのアプローチや論点について学ぶ。この演習は,心理療法の実践的なトレーニングの第一段階となるものである。
本演習は,初学者としてケースカンファレンスに参加するものであり,準備を含めた参加の態度や守秘義務の遵守,クライエントの尊重といった心理療法家の基本を習得する。
ケースカンファレンスへの参加・討論での態度,リアクションペーパー等を通して,総合的に判断する。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 適宜提示する。下記ホームページの大学院連絡事項も参照のこと。 http://appsv.main.teikyo-u.ac.jp/~m-ikeda/index.htm | ||
参考文献 | サポーティブ・サイコセラピー入門―力動学的理解を日常臨床に活かすために― | ヘンリー・ビンスカー著,秋田恭子,池田政俊,重宗祥子訳 | 岩崎学術出版社 978-4753310272 |
参考文献 | 北山理論の発見―錯覚と脱錯覚を生きる | 北山修監修,妙木浩之,池田政俊編著 | 創元社 978-4422-11305-0 |
参考文献 | 新体系,看護学全書 精神看護学Ⅰ精神看護学概論 精神保健 | 岩崎弥生,渡邉博幸編 | メヂカルフレンド社 (第1章「精神(心)」のとらえかた Ⅱ精神(心)の構造と働き pp46-74.池田政俊) 978-8392-3305-1 |
関連する各講義(心理学療法特論,臨床心理学特論,臨床心理面接特論など)を受講することはもちろん,各講義で提示された文献を読み,事前学習を欠かさず,積極的な態度で臨んで欲しい。心理療法に関する知見を深めて置くことが望ましい。
真剣に学ぼうとしている他の院生の邪魔をしないこと(私語,携帯電話,遅刻・欠席など)。
主体的・創造的な参加が望まれる。
回 | 授業内容 |
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第1回 | オリエンテーション |
第2回 | 報告・討論を通して事例の理解を深め,心理療法の実践を学ぶ |
第3回 | ふりかえり |
第4回 | 報告・討論を通して事例の理解を深め,心理療法の実践を学ぶ |
第5回 | ふりかえり |
第6回 | 報告・討論を通して事例の理解を深め,心理療法の実践を学ぶ |
第7回 | ふりかえり |
第8回 | 報告・討論を通して事例の理解を深め,心理療法の実践を学ぶ |
第9回 | ふりかえり |
第10回 | スモールグループに分かれ、報告・討論を通して事例の理解を深め,心理療法の実践を学ぶ |
第11回 | スモールグループに分かれ、報告・討論を通して事例の理解を深め,心理療法の実践を学ぶ |
第12回 | 第10回・11回の報告・討議内容について、ディスカッションを行い、報告・討議された事例についてより理解を深める |
第13回 | スモールグループに分かれ、報告・討論を通して事例の理解を深め,心理療法の実践を学ぶ |
第14回 | スモールグループに分かれ、報告・討論を通して事例の理解を深め,心理療法の実践を学ぶ |
第15回 | 第14回・15回の報告・討議内容について、ディスカッションを行い、報告・討議された事例についてより理解を深める |