担当者 | 永井 希依彦 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [経営学科] | |
科目ナンバリング | MOF-302 |
企業金融とは、企業が経済活動を行うために必要となる資金を調達するための金融について論じる分野です。より具体的にいえば、企業はどういう資金が必要か、資金繰りに影響する要因は何か、また資金調達にはどういう方法があるのか、といったことについて実務的な面も含めて学習していきます。
企業活動を支える資源の3つ「ヒト・モノ・カネ」のうち「カネ」がなければ、企業を実際に運営する「ヒト」も、企業活動を行う上で必要な原材料・部品・生産設備・店舗など「モノ」もそろえることができません。「カネ」で「ヒト」と「モノ」という企業活動の両輪を整備するわけです。その意味で、本講座が扱う主要なトピックは「カネ」の調達方法のいくつかの種類の解説だけにとどまりません。広く企業活動のすべてを把握しないと議論を進めることができない以上、会社のさまざまな機能や社会における役割も同時に理解することも主眼に置いています。
本講座の特徴は主に二つあります。第一に、投資活動・配当政策・ポートフォリオ・資本構成など企業の財務関連全般を理論的に扱う従来のコーポレートファイナンスと異なり、本講座では特に資金の流れと資金調達にフォーカスし、実務的な側面から議論を進めることです。第二に、資金調達や資金繰りの基礎を学習するために必要な範囲内で会計的な側面について触れることもあるかもしれませんが、簿記や会計などの科目で論じられているような詳細には立ち入りません。また、数式も極力用いることなく理解を深めることを試みます。
年間を通じて学習を達成した受講者は、企業がどのような資金を必要とし、どのような手段によって資金を調達することができるのか、包括的な理解ができるようになるでしょう。
【後期】は、企業活動における基礎的な資金需要と借入形態について学習した前期からの続編と位置づけ、その他現在一般的に用いられている資金調達の形態とその実務について学習をします。
また、前期同様、閑話休題と題し、通常の体系的学習の合間を縫って近年世間の関心が高かったり、受講生に関心を持ってもらえそうだったりするトピックについてアドホックに解説をする時間を設定します。後期のテーマは「企業金融と組織論」を予定しています。(※なお、講義内容は受講生の理解の進捗により適宜調整)
第一の目標:自分自身の普段の生活や、サークル活動等所属団体の資金需要についてこれまで以上に長期的視点で予測し対策を考えることができるようになる。
第二の目標:企業の資金繰りについて議論されている記事や討議に接した際に企業金融の体系のうちどの話をしているのか理解できるようになる。
第三の目標:企業の資金管理的な問題点について、財務関連資料から現状を正しく把握し、問題点を抽象化し、いくつかの合理的に正しい解決策を導出できるようになる。
授業への貢献度を20%程度、定期試験を80%程度にして評価します。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 『入門 企業金融論』 | 中島真志 | (東洋経済新報社) |
参考文献 | 『コーポレートファイナンス入門』 | 砂川 伸幸 | (日本経済新聞社) |
参考文献 | 『新しい企業金融』 | 米澤康弘・小西大・芹田敏夫 | (有斐閣アルマ) |
上記のテキストを事前に読んで、予習をして下さい。また講義の後、講義では扱わなかったテキストで紹介されているケーススタディを再読したり、参考教科書として指定している2冊のうち該当部分を読んだりしてよく復習してください。
無断の欠席や遅刻、私語については厳正に対処します。
回 | 授業内容 |
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第1回 | 講義の進め方・前期のおさらい |
第2回 | 社債その1:社債の特徴と種類 |
第3回 | 社債その2:私募債 |
第4回 | 社債その3:債権価格と利回り |
第5回 | 株式その1:株式による資金調達 |
第6回 | 株式その2:M&Aの基本 |
第7回 | 株式その3:友好的M&Aと敵対的M&A |
第8回 | アセットファイナンス |
第9回 | ベンチャーファイナンス |
第10回 | コーポレートファイナンスその1:投資案件の評価 |
第11回 | コーポレートファイナンスその2:投資による価値創造 |
第12回 | コーポレートファイナンスその3:スワップ取引・証券化 |
第13回 | コーポレートファイナンスその4:ポートフォリオ理論 |
第14回 | コーポレートガバナンス |
第15回 | 総まとめ:企業金融の哲学 |