環境法Ⅰ
担当者井口  博
単位・開講先選択  2単位 [法律学科 2017年度以前]
科目ナンバリングNFL-307

授業の概要(ねらい)

 環境法は、さまざまな環境問題を法によって解決し、私たちが暮らしやすい環境を作り上げることを目的にしています。皆さんがどのような生活をしても、どのような仕事に就いても、必ず環境法が現れてくるでしょう。その意味で環境法はまさに「実学」の法律です。この授業では、さまざまな環境法の学習を通して、「環境法的視点」を身に付けてもらいます。法学の基礎知識がなくてもわかるように話をしますので、法学部の学生だけでなく、法学部以外の学生にとっても得るところが多いと思います。
 授業では、日常生活の中で、また仕事の中で、環境法がどのように関わってくるかを具体的に学びます。特に私が弁護士の立場でこれまでさまざまな環境問題に取り組んできた経験についても話をします。私は弁護士として毎日まざまな法律問題と関わっていますので、その中から皆さんが社会に出てから役に立つ法律のこともお話したいと思います。
 また授業では,環境実務に携わっているゲスト・スピーカーを呼んで、現場の話を聞く機会も作ります。これまでには、屋久島で環境行政を担当している自治体職員、有機農業を営む農家の方、環境犯罪の取り締まりをしている警察官などに来てもらいとても有意義なお話をしていただきました。
 それ以外に、参加型授業をより進めるために、毎回、次の授業のテーマについてレポート課題を出します。課題レポートは必修です。それまでの授業についての小テストも実施します。また毎回、その日の授業の感想や質問を感想ノートに書いて、授業の後に提出してもらいます。皆さんの質問には必ず回答します。
 秋学期開講予定の環境法Ⅱ/Bは「実学」にシフトした応用編ですが、こちらも受講すると、環境法やその周辺のことについての理解が格段に進むでしょう。
 

授業の到達目標

 これからの生活、仕事などさまざまな場面で現れる環境問題について、この授業で身に付けた環境法の知識と理解によって、環境問題の解決方法を自ら考えられるようにしてもらいます。

成績評価の方法および基準

 期末試験はすべて講義内容(レジュメと資料)から出題します。配付したレジュメと資料は持ち込み可とします。成績は、期末試験(60%)、小テスト(10%)、課題レポート(必修)、感想ノート等の授業受講内容(30%)で評価します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書決まったテキストは使いません。毎回、レジュメと資料を配り、それをもとにして講義します。参考書としては、交告尚史ほか『環境法入門』(第3版)、畠山武道『考えながら学ぶ環境法』、北村喜宣『プレップ環境法(第2版)』をお勧めします。
参考文献『環境法入門』(第3版)交告尚史ほか
参考文献『考えながら学ぶ環境法』畠山武道
参考文献『プレップ環境法』(第2版)北村喜宣

準備学修の内容

 課題レポート(必修)は、A4で1頁程度ですが、文献などで調べて作成してください。

その他履修上の注意事項

 環境法は、常に身の回りにあります。皆さんがどのような生活をしても、どのような仕事に就いても、「環境法的視点」を忘れないようにしてください。

授業内容

授業内容
第1回 オリエンテーション-「環境法」とは何か
第2回 アニメや文学に表れた環境法-さまざまな形の「環境法」
第3回 海、山、川をどう守るか-自然公園法や自然環境保全法など
第4回 動植物をどう守るか-生物多様性基本法や動物愛護法など
第5回 美しい景観をどう守るか-景観法・エコツーリズム法など
第6回 水、土、空気を汚さないために-大気汚染防止法など
第7回 騒音・振動・地盤沈下・悪臭をどう防ぐか-騒音規制法など
第8回 食べ物の安全をめざして-食品安全基本法など
第9回 化学物質・有害物質をどう規制するか-化審法など
第10回 リサイクルの法制度-循環社会基本法・廃棄物処理法など
第11回 環境保護を次の世代に-環境教育をどう進めるか
第12回 環境犯罪を防ぐために-環境刑法の仕組み
第13回 日本のエネルギー問題-原子力と再生可能エネルギーに関する法制度
第14回 地球温暖化をめぐって-国際環境法について
第15回 まとめと授業内試験