心理臨床家として心理療法や対人援助を行う上で、単に臨床心理学関連の理論や知識を得るのみではなく、体験学習を通してその理念や具体的技法を総合的に体得する必要がある。実際の臨床心理学的な対人援助は、基本的理論や知識を背景としながらも、個別性や関係性を重視しながら多様に展開していく。
本大学院においては、心理臨床の実践家を育てるために、「臨床心理基礎実習」と「臨床心理実習」を重要な必修カリキュラムとして位置付けている。この「臨床心理基礎実習」は修士1年全員を対象とするものである。この実習を通じて、心理療法や対人援助の基本的考え方や技法の習得を目指す。これらの習得によって、実習生として実際にクライエントを担当し、臨床心理学的対応が可能となるレベルを目指す。
この基礎実習の最終目標は、附属の心理臨床センターや学外の実習機関において、実際にクライエントへ対応できるレベルまで技能の向上を行うことである。この目標は当授業および実習に出席し毎回体験を積み重ねることで達成可能となるので、欠席しないようにコンディションを整えることが重要である。なお、心理臨床センターにおける実習に関しては一定の条件を満たした者とする。
授業態度20%、ディスカッション・発表・ロールプレイなどのアクティビティへの参加度40%、センター実習10%、課題30%
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
---|---|---|---|
教科書 | 心理援助の専門家になるために | マリアン・コーリィ | 金剛出版 |
教科書 | マイクロカウンセリング | アレン・E・アイビイ | 川島書店 |
参考文献 | 新訂 方法としての面接 | 土居健郎 | 医学書院 |
参考文献 | 心理臨床と倫理・スーパーヴィジョン | 鑪幹八郎 | ナカニシヤ出版 |
参考文献 | 試行カウンセリング | 鑪幹八郎 | 誠信書房 |
参考文献 | いま家族援助が求められるとき―家族への支援・家族との問題解決 | 中釜洋子 | 垣内出版 |
臨床心理基礎実習Ⅱ開始前に、課題図書を復習しておくこと。
心理臨床家になるためには、単に授業に出席するだけではまったく不十分である。カリキュラムはあくまで最低限の考え方や体験を提供するものであり、それらをどのように深めていくか個人的に修練が必要となる。
心理臨床場面は常に未知の体験の連続である。知らないことへの探究心や研究の姿勢を持つことが重要となる。臨床心理学の研究のマインドを保ちながら、その基本となる姿勢をこの実習で身につけてほしい。
ゲストスピーカーを招くことがある。
この科目は臨床心理学専攻に特化した科目です。
回 | 授業内容 |
---|---|
第1回 | 心理臨床センター実習の振り返り・試行カウンセリングに関するオリエンテーション:臨床面接における倫理 |
第2回 | 心理臨床センター実習・SST:事前学習 |
第3回 | インテーク面接について・センター陪席に関するガイダンス |
第4回 | 試行カウンセリング1 |
第5回 | 試行カウンセリング2 |
第6回 | 試行カウンセリング3 |
第7回 | 試行カウンセリング4 |
第8回 | 試行カウンセリングまとめ:援助過程を構成する諸段階・価値観と援助関係 |
第9回 | 家族療法の基礎・ジェノグラムについて |
第10回 | 家族療法の実際:ゲストスピーカーによる講義・ロールプレイ |
第11回 | プレイセラピーの基礎 |
第12回 | プレイセラピーの実践:事例を通したディスカッション |
第13回 | WISC実習について |
第14回 | 心理臨床センター実習・SST:事後学習 |
第15回 | 後期まとめ |