担当者 | ||
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単位・開講先 | 選択 2単位 [経営学科] | |
科目ナンバリング | ECT-102 |
他者が欲しがるものをつくって売ることで得たお金で、自分がほしいものを買ってつかえる世の中で私たちは生活している。何をどれだけつくって売るか、何をどれだけ買ってつかうかは自分で自由に決められる。全員が自分のことだけを考えて取引する世の中は果たしてよいものなのか。よいにせよ悪いにせよその善悪はどのような基準で判断できるのか。本科目では、入門ミクロ経済学Ⅰを前提として、自己の幸せ追求と豊かな社会の構築がどこまで両立するかについて学ぶ。
身のまわりの事象をミクロ経済学の専門用語にあてはめて考えられる。
・消費者の意思決定問題を、限界支払用意と価格を比較して解き、個別需要曲線、市場需要曲線を導出できる。
・企業 (生産者) の利潤最大化問題を、価格と限界費用を比較して解き、個別供給曲線、市場供給曲線を導出できる。
・「利潤」と「正味便益」を混同せずに適切につかいわけられる。
・均衡点では総余剰が最大になることを数値例で説明できる。
毎回課す確認テストと宿題による (100パーセント)。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 特に指定しない。タイトルが『(入門) ミクロ経済学』などとなっている本のうち、「消費者 (需要) 行動」「生産者 (供給) 行動」「限界支払用意 (限界支払許容額、限界効用、限界評価etc.)」「限界費用」「消費者余剰」「生産者余剰」「総余剰」「資源配分」「均衡点 (市場均衡、競争均衡、価格均衡etc.)」という用語が見出しや本文に登場する部分は参考になるかもしれない。たとえば、伊藤元重 (2015)、『入門経済学』第4版、日本評論社ならば、pp. 53-103、N・グレゴリー・マンキュー (2013)、『マンキュー経済学Ⅰミクロ編』第3版、東洋経済新報社ならば、pp. 203-230が対応している。詳しくは第1回授業で説明する。各回の到達目標、参考書のリスト、第何回の授業の内容がどの本の何ページに対応するかを示す予定である。 | ||
参考文献 |
授業中に出題する確認テスト、宿題を解きなおしたり参考書の章末問題を考えたりしてそれまでの講義内容の理解を深めてほしい。復習、特に問題演習は重要である。ノートや参考書を読むだけで例題、問題は解かない、という勉強ではわかったことにならない。例題、問題は解き方を読むだけでなく、自分でペンをもってノートに解きなおすべきである。問題を解けば自然にわかってくることは多い。わかっていることとわからないことを明確に区別して、理解できていない解説を紙に何回でも再現せよ。
入門ミクロ経済学Ⅰと同様、内容を大幅に削減している。しかし、内容量は入門ミクロ経済学Ⅱの方が多い。「限界」という発想に慣れるのに時間がかかり、生産技術の性質から供給曲線を導出するまでのステップが多いからである。それらを省略すると雑な説明になり、「市場経済は私たちにとってよいものか」との問いに答えられなくなる。授業担当者としては後者にぜひとも答えたい。可能な限り厳密な議論、正確な説明を行いたい事情もあり、わかりやすさ、やさしさを犠牲にしている感はある。そうはいっても、「どんなに勉強してもちんぷんかんぷん」ということはない (ようにしたい)。難解ではあるものの、できればその難しさを楽しみながら、最後まで受講してほしい。
回 | 授業内容 |
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第1回 | イントロダクション |
第2回 | 限界支払用意 |
第3回 | 正味便益と個別需要曲線 |
第4回 | 市場需要曲線 |
第5回 | 消費者余剰 |
第6回 | 生産と費用 |
第7回 | 供給量の決定 |
第8回 | 個別供給曲線と正味便益 |
第9回 | 市場供給曲線 |
第10回 | 生産者余剰 |
第11回 | 正味便益と利潤 |
第12回 | 均衡点と総余剰 |
第13回 | 価格とは何か |
第14回 | 均衡点における総余剰最大化 |
第15回 | さまざまな資源配分と総余剰を最大にする意義 |