開発経済論Ⅰ
担当者菊池  正教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [経済学科]
科目ナンバリングECP-315

授業の概要(ねらい)

 開発経済学は途上国を対象とし、経済成長論や発展論といった経済理論、投資・貿易の経済効果や貧困指数の計測といったデータ分析、そして一村一品運動や農村のコミュニティ調査といったフィールドワークを通じて、途上国の経済発展を研究し、先進国と途上国の調和(Win-Win“ウイン・ウイン”)がとれた共存の道を探求する学問である。
 開発経済学で大切なことは、経済理論、データ分析、そしてフィールド調査等のどのようなアプローチを取るにせよ、現場をしっかり見て考えることである。地球の人口の約3/4以上が途上国の人々である。必然的に、これら途上国が直面している課題を知るには、読まなければならない文献の量も多くなる。本授業ではアメリカなどの海外の大学生に比較的よく読まれている「トダロとスミスの開発経済学」(マイケル・P. トダロ、ステファン・C. スミス著)の「前半」、そして外務省他の関連機関による開発経済学の情報を参照し講義する。

授業の到達目標

 開発経済学で肝要なことは、持続可能な開発の在り方を、途上国の人々と一緒に考え、気候変動をはじめとする地球規模の課題に目を向けることである。地球上の全ての人々が豊かになればそれに越したことはないが、食糧供給量の制約の下で、果たして可能であるか否か。逆に、日本をはじめとする先進国で、食糧が無駄に消費されているとすれば、日本でも途上国の支援が出来る方法が見つかるかもしれない。諸君には、個々の立場から、途上国(地球上)の人々と共存できるには、何ができるかを考察し、自分なりの意見が言えるようになってもらいたい。

成績評価の方法および基準

 成績は平常点(授業貢献や提出物:40%)と期末評価(レポートもしくは期末試験:60%)の結果により、総合的に評価する。詳細は、最初の講義で説明する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書授業ではハンドアウト(プリント)を配布予定。 サブテキスト Michael P Todaro, Stephen Smith, Economic Development, Pearson Education Limited; 12th, 2015. 日本語訳は(原著第10版)マイケル・P. トダロ、ステファン・C. スミス著『トダロとスミスの開発経済学』、ピアソン桐原、2010 Web page of Professor Stephen C. Smith http://www.gwu.edu/~iiep/about/faculty/ssmith/
参考文献(開発経済学の理論) (2003)『開発経済学-貧困削減へのアプローチ』黒崎卓・山形辰史日本評論社
参考文献(2000)『開発経済学-諸国民の貧困と富』速水佑次郎創文社
参考文献(2012)『動学マクロ経済学:成長理論の発展』二神 孝一日本評論社
参考文献(2000)『成長理論』ロバート・M. ソロー、福岡 正夫訳岩波書店
参考文献(2006)『内生的経済成長論』全2巻R.J. バロー、X. サラ‐イ‐マーティン、大住 圭介訳九州大学出版会
参考文献(応用研究、政策提言他) (2015)『21世紀の不平等』 アンソニー・B・アトキンソン東洋経済新報社
参考文献(2013)『国際紛争』ジョセフ・S・ナイ・ジュニア、ディヴィッド・A・ウェルチ有斐閣
参考文献(2005)『開発経済学-貧困削減から持続的発展へ』 高梨 和紘編著慶應義塾大学出版会
参考文献(2014)『21世紀の資本』トマ・ピケティみすず書房
参考文献(2017)『行動経済学の逆襲』リチャード・セイラ-早川書房
参考文献(2017)SDGs 国連 世界の未来を変えるための17の目標 2030年までのゴール日能研教務部みくに出版
参考文献(2018)最新プラットフォーム戦略 マッチメイカー デヴィッド・S・エヴァンス (著), リチャード・シュマレンジー (著), 平野敦士カール (翻訳)朝日新聞出版
参考文献(2010)The idea of JusticeAmartya Sen Penguin books
参考文献(1996)Peace by peaceful means: Peace and conflict, development and civilizationJohan GaltungSAGE Publications
参考文献(2009)Economic Analysis of social capitalHirofumi UzawaCambridge
参考文献(2009), Justice: What’s right things to do?Michael L. SandelFarrar, Straus, and Giroux

準備学修の内容

 日々から時事問題に目を通し、世界経済、開発途上国の事例に関する情報収集をしておくこと。その上で、授業では開発経済学分野の実学とは何かを考えてほしい。

その他履修上の注意事項

 授業前にしっかりと授業で指定する文献を読んでおくこと。訪れたい途上国が見つかれば、さらに開発経済学が好きになれると思う。一度も休まない意志を持つ学生の受講を期待する。

授業内容

授業内容
第1回 はじめに:開発経済学へのいざない
第2回 経済学、制度、開発:地球規模の展望(I)
第3回 経済学、制度、開発:地球規模の展望(II)
第4回 経済発展の比較分析(I)
第5回 経済発展の比較分析(II)
第6回 経済成長と開発の古典的理論(I)
第7回 経済成長と開発の古典的理論(II)
第8回 開発と低開発の現代モデル(I)
第9回 開発と低開発の現代モデル(II)
第10回 貧困、不平等とそして開発(I)
第11回 貧困、不平等とそして開発(II)
第12回 人口増加と経済開発:原因、結果および論争(I)
第13回 人口増加と経済開発:原因、結果および論争(II)
第14回 議論・意見交換:開発経済学の展望と課題
第15回 まとめ