担当者 | 稲垣 綾子教員紹介 | |
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単位・開講先 | 必修 2単位 [心理学科 2017年度以前] | |
科目ナンバリング | PSY-102 |
臨床心理学は、心理学を理論的基礎とし、社会に生じるさまざまな「心理的ニーズ」を見立て、心の奥深い部分でかかわり、その営みを総合的に評価するための実践的学問である。医療、教育、産業、福祉、司法・矯正といったさまざまな分野においてその実践が積み重ねられている。臨床心理学は、心理学の各分野と密接に関連するとともに、精神医学や福祉学、教育学とも相互に影響しあい、心の健康増進に貢献している。
臨床心理学は、①見立て(アセスメント)、②介入(心理療法、心理援助、地域援助)、③研究(実践研究、効果研究を含む)、④社会的位置づけ(倫理、法律、資格など)、の大きく4つに分けることができる。本講義では、臨床心理学の成り立ちや臨床心理学の代表的な理論の学びを通して、実際に心理学的支援を行うための基幹の学問である臨床心理学の概要を理解することを目指す。
①「見立て(アセスメント)」については別の講義で詳しく取り上げられるが、本講義では見立てを行う上で欠かせない基本知識を身に付ける。②「介入」では、臨床心理学に関する代表的な理論について紹介する。これらの理論は、問題とは何か、治療や援助とは何か,そもそも人の存在をどうとらえているか,といった基本的な認識論とも深くかかわっている。さまざまな理論が生みだされてきた背景や流れをつかみ、治療や援助にかんする考え方の変遷とそこに通底する本質、現在の臨床心理学のありようを考えていってほしい。
2015年9月に心理職の国家資格「公認心理師」が創設されることになった。臨床心理士のこれまでの活動を、国家資格として引継ぎ、日本全国で心の健康をささえる活動が展開できる枠組み作りが始まっている。将来、公認心理師・臨床心理士になりたい人、悩んでいる人への支援や対人援助職を考えている人、心理学と社会との関連に関心のある人など、この講義で出てくるテーマから、さまざまな生き方について学び、自らの考えを深めてもらいたい。
1)臨床心理学の成り立ちについて概説できる
2)臨床心理学の代表的な理論について概説できる
3)臨床心理学に求められる社会的期待やニーズについて把握し自分の意見を表明できる
試験40%、中間テスト30%、リアクションペーパー30%
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 『よくわかる臨床心理学(改訂新版)』 | 下山晴彦編 | ミネルヴァ書房 |
参考文献 | 『新しいメンタルヘルスサービス』 | 元永拓郎著 | 新興医学出版社 |
参考文献 | 『やさしく学べる心理療法の基礎』 | 窪内節子・吉竹光代著 | 培風館 |
テキストの次回授業範囲について充分に読み込み、授業で配布するホームワークに取り組む。
本講義は1年後期の必修科目である。また2年生以上は、選択科目として履修する。「心理的アセスメント論」、「心理学的支援法」は密接に関連する。また心理学実践に関する諸科目の基本として本科目を位置付けたい。
臨床心理学が対象とする、さまざまな「異常な心理」が紹介される。これらの心理の学びを通して、生きづらさに直面しながらも、どう生きていくかを真剣に模索する姿を見出し、多くのことを謙虚に受け止め、感じ、考えてほしい。
1年生で公認心理師を目指す人は必ず履修しなければならない。また2年生以上も含め、臨床心理士及び公認心理師を目指し大学院進学を希望する人は、この講義内容を深く理解すると同時に、紹介される書籍(文献)を主体的かつ意欲的に読む必要がある。そもそも臨床心理学を学ぶものは、膨大な書籍や論文を読む姿勢が求められることを肝に銘じてほしい。
また、真剣に学ぼうとしている他の学生の邪魔をしないこと(私語,携帯電話等の電子機器の使用など)。
※ 2018年度以降の入学生には、公認心理師受験資格に必要な科目です。
2017年度以前の入学生は、心理学科のホームページを参照してください。
回 | 授業内容 |
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第1回 | 講義ガイダンス:臨床心理学とは何か。公認心理師とは? |
第2回 | 臨床心理学の歴史と専門性、その実際(医療・教育・福祉・司法・産業領域) |
第3回 | 臨床心理学における見立て、正常性と異常性をどう捉えるか |
第4回 | 臨床心理学の対象1:統合失調症・躁とうつの臨床 |
第5回 | 臨床心理学の対象2:神経症の発見と解体(心因をめぐる病理) |
第6回 | 臨床心理学の対象3:人格障害/発達障害の流行(社会の成熟と精神病理) |
第7回 | 臨床心理学の対象4:その他の異常心理(PTSD、認知症、自殺など) |
第8回 | 心理学的支援に関する代表的理論1:精神分析・精神力動的アプローチ |
第9回 | 心理学的支援に関する代表的理論2:クライエント中心療法 |
第10回 | 心理学的支援に関する代表的理論3:行動療法、認知行動療法 |
第11回 | 心理学的支援に関する代表的理論4:プレイセラピー・箱庭療法・森田療法・内観療法 |
第12回 | 心理学的支援に関する代表的理論5:家族療法・集団療法 |
第13回 | 心理学的支援に関する代表的理論6:コミュニティアプローチ・危機介入・コンサルテーション |
第14回 | 臨床心理学における研究とは―実践と研究のバランス |
第15回 | まとめ |