アジアの社会と文化Ⅱ
担当者三輪 博樹教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [日本文化学科]
科目ナンバリングARS-202

授業の概要(ねらい)

 南アジア各国はそれぞれ、宗教や民族などの面で多様かつ複雑な社会を有しており、さらに、それぞれの国ごとに有力な宗教や民族が異なっています。その結果、南アジア各国は国内に多くの紛争を抱えており、また、国家間の対立も見られます。本科目では、こうした紛争や対立の現状について理解し、その解決策について考察できるようになることを目指します。
 授業では、カシミール地方をめぐるインドとパキスタンの対立、インド北東部地域の動向、インドにおける極左武装集団の活動、スリランカの民族紛争、ネパール、ブータン、ミャンマーにおける民族問題について説明します。その上で、紛争の解決のための方法(武力による解決か、話し合いによる平和的な解決か)について考えていきたいと思います。
 各回(第1回を除く)の授業の終わりに、10分程度の小テストを行います。小テストでは、授業で学んだ知識を確認するだけでなく、授業で学んだ事柄に対して自分なりにどう考えるのか、各自の考え方や意見などをまとめていただきます。

授業の到達目標

 以下の2つを到達目標とします。(1)南アジア地域における紛争や対立の現状について理解する。(2)紛争の解決のためにはどのような方法が適切なのか、現状の分析にもとづいて自分なりの考えを提示できるようになる。

成績評価の方法および基準

 各回の小テストの合計点(40%)と、期末レポートの内容(60%)を合わせて評価します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 教科書は指定しません。各回の授業ごとに、講義内容をまとめたレジュメや関連資料などを配布します。また、さらに学習を深めたい方に向けて、参考文献を授業の中で紹介します。
参考文献

準備学修の内容

 第1回目の授業のときに、各回の授業内容の詳細について説明します。また、各回の授業で使用するレジュメはひとつ前の回の授業のときに配布しますので、配布したレジュメなどを事前に読んで予習を行い、疑問点などを明らかにしておいてください。

その他履修上の注意事項

 特になし。

授業内容

授業内容
第1回イントロダクション:授業の概要と進め方、南アジアにおける紛争や民族問題の概観
第2回カシミール問題(1):カシミール問題の発端と3回にわたる印パ戦争
第3回カシミール問題(2):インドにおける中央=州関係との関わり、テロとの戦い
第4回カシミール問題(3):インド、パキスタン、中国3カ国の思惑
第5回インド北東部地域(1):インド北東部7州の特徴、州設立の経緯
第6回インド北東部地域(2):アッサム州における「外国人」排斥の動きと分離主義運動
第7回インド北東部地域(3):ナガランド州における民族問題、マニプル州における武装集団の活動
第8回インドにおける極左武装集団:マオイスト(ナクサライト)の活動、インド政府の治安対策
第9回スリランカの民族紛争(1):民族紛争の背景、政治的思惑による民族対立の激化
第10回スリランカの民族紛争(2):内戦の勃発から終結まで
第11回スリランカの民族紛争(3):内戦終結後の人権問題と外交問題、インドと中国の思惑
第12回ネパール:南部タライ地域における反政府運動、インドとの関わり
第13回ブータン:国民総幸福量、ネパール系ブータン難民問題
第14回ミャンマー:少数民族ロヒンギャをめぐる問題、バングラデシュおよびインドの対応
第15回まとめ:紛争はなぜ、どのようにして起こるのか、紛争の解決のための方法とは