ライフサイエンスⅠ
担当者安部  良
単位・開講先選択  2単位 [総合基礎科目]
科目ナンバリングSCE-103

授業の概要(ねらい)

 人文科学・自然科学・社会科学とは、地球生命38億年の進化が培った自然知能(Natural Intelligence)の発現と捉えることができる。自然知能とは何か?この問いかけに答えることは、未来の人類と地球の存在を支える上で、大いなる示唆と知恵を我々に与えることになると思われる。この授業では、自然知能とは何か、我々は自然知能から何を学ばねばならないのか、を知ることを目的とする。自然知能について考察するためにこの授業では、
1) 動物が示す知能
2) 人間(機能、文化、歴史)が示す知能
3) 人工知能(Artificial Intelligence)
の3点に焦点をあてていく。これらの知見を、相互に比較検討することで、自然知能が持つ生物学的・進化的意義と将来展望を明らかにする。授業形式は、パワーポイントや板書などを利用した講義と、授業時間内に行うレポート作成によって構成される。

授業の到達目標

 この授業では、新しい学問概念である自然知能に対する基礎的な知識を身につけ、与えられた授業題材から自然知能に対する考察ができるようになることが目標である。
受講する学生には、授業内完結としてのレポート提出が複数回課せられる。
学生各自は、授業を理解し、そこから考察した内容を文章として表現できるようになることが必要である。文章の上手下手によらない、思考する力の育成を目的とする。

成績評価の方法および基準

 提出されたレポートの評価により、成績を決定する。レポートのテーマは授業時間内に担当教員より示される。次いで講義内に20~30分のレポート作成時間を設けるので、その間にレポートを作成し、授業終了時に提出する。提出は授業終了直後のみとし、それ以後の提出は欠席の場合であっても認めない。知識の多寡を評価するのではなく、授業内容についての学生各自の考察を評価する。思考や考察のないものは減点する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 購入テキストなし
参考文献

準備学修の内容

 動物の知能、人体の機能とくに免疫機能と言語機能、および人工知能に関する基礎用語を理解しておくこと。

その他履修上の注意事項

 この授業は、知識の習得を目標にしたものではなく、考察力を高めることを目標にしている。授業内容に集中し、考察した内容を的確に表現できるようにすることが高い評価となる。積極的な受講を期待する。

授業内容

授業内容
第1回 <オリエンテーション 授業の進め方>   担当:安部 良(戦略的イノベーション研究センター)
  ○なぜ今自然知能か? 人類の文化と自然知能を考察する
第2回 <動物が示す知能1>   担当:本間 光一(薬学部)
  ○鳥類の知能(カラス、ニワトリ、オウム、ペンギン)から自然知能を考察する
  ○レポート作成
第3回 <動物が示す知能2>   担当:本間 光一
  ○鳥類の知能(色彩、視覚、聴覚、子育て、托卵、肉食)から自然知能を考察する
  ○レポート作成
第4回 <動物が示す知能3>   担当:本間 光一
  ○鳥類の知能(学習能力、刷り込み学習)から自然知能を考察する
  ○レポート作成
第5回 <人間の機能が示す知能1>   担当:安部 良
  ○多細胞生物への進化から自然知能を考察する
  ○レポート作成
第6回 <人間の機能が示す知能2>   担当:安部 良
  ○生体防御機構である自然免疫と獲得免疫から自然知能を考察する
  ○レポート作成
第7回 <人間の機能が示す知能3>   担当:安部 良
  ○免疫の多様性と特異性、自己と非自己の認識から自然知能を考察する
  ○レポート作成
第8回 <人間の機能が示す知能4>   担当:安部 良
  ○免疫記憶と寛容から自然知能を考察する
  ○レポート作成
第9回 <人間の機能が示す知能5>   担当:安部 良
  ○ゲノム編集、ビッグデータ、ロボット技術から自然知能を考察する
  ○レポート作成
第10回 <ヒトとヒト以外の動物との比較1  向社会的行動>   担当:草山 太一(文学部)
  ○他者への思いやり・援助行動や協力行動から自然知能を考察する
  ○レポート作成
第11回 <ヒトとヒト以外の動物との比較2 自己認知>  担当:草山 太一
  ○自己認知から自然知能を考察する
  ○レポート作成
第12回 <自然知能1 人工知能研究の歴史>   担当:岡ノ谷 一夫(東京大学大学院総合文化研究科)
  ○人工知能研究の誕生と、現在注目されている理由を考察する。
  ○レポート作成
第13回 <自然知能2 人工知能と自然知能>   担当:岡ノ谷 一夫
  ○人工知能と自然知能の共通点と相違点、相互の発展の可能性と限界を考察する
  ○レポート作成
第14回 <自然知能3 自然知能の未来>   担当:岡ノ谷 一夫
  ○言語の進化から自然知能が地球生命の未来に及ぼす可能性と展望を考察する
  ○レポート作成
第15回 <経済学と自然知能、総括>   担当:廣田 功(経済学部)
  ○経済学と自然知能が人類の文化の中でどのように関連しあってきたかを考察する
  ○レポート作成