アジア経済論Ⅱ
担当者菊池  正教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [経済学科]
科目ナンバリングECP-318

授業の概要(ねらい)

 アジア地域は民主化と市場経済化の影響を、いま一番多く受けている地域といえるかもしれない。アジア地域は、東アジア、東南アジア、南アジア、中央アジア、西アジアに分かれ、約50の国家・地域からなっている。その人口は世界の約60%、面積は約23%を占める。食糧に関しては、アジア地域は米の生産量は世界の約90%、小麦の生産量は約45%、トウモロコシは約30%を占め、農業の重要な生産地である。工業に関しては、既に発展を遂げている新興工業経済地域(NIES)、大国であるインド、中国、そして東南アジア地域のCLMV諸国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)が近年は相対的に高い経済成長を遂げている。これらアジア経済の高い潜在力、その豊富な労働力と内需に魅かれて、多くの日系企業がアジア地域へと進出している。日本の対外貿易に関し、アジア地域は輸出入それぞれ約40%を占めている。日本はアジア地域の一員であると共に、アジア地域の諸国は日本の重要なパートナーである。
 授業では、アジア地域諸国の概要を社会経済事情やデータから紹介しつつ、時には、諸君との意見交換や議論を通じて、一緒に今後の“アジア経済のヴィジョン”を考えたい。

授業の到達目標

 授業で学んだアジア経済に関する知識をもとに、アジアが持続的な発展を遂げるために、「何が大切か、日本はアジア地域の一員として何ができるか」を自分の言葉で表現できることを目指す。

成績評価の方法および基準

 成績は平常点(授業貢献や提出物)とレポートの結果により、総合的に評価する。詳細は、最初の講義で説明する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書テキスト
 授業中にプリントを配布する。アジア経済の発展と課題に関する文献は多いので、好きな一冊を選び読んでもらいたい。
 サブテキスト
 ODA白書 (外務省HP内) http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hakusyo.html
 アジアの国地域紹介・日本との関係(外務省HP内) 
http://www.mofa.go.jp/region/asia-paci/index.html
 経済財政白書 内閣府ホームページhttp://www5.cao.go.jp/keizai3/whitepaper.html#chiiki
 世界銀行(WB)、アジア開発銀行(ADB)のHP内の各国情報、ASEAN関連記事など。
 Countries and economies of WB http://data.worldbank.org/country
 Countries and regions of ABD http://www.adb.org/countries/main
 世界銀行(2018)“Global Economic Prospects: Broad-Based Upturn, but for How Long?(『世界経済の見通し』)”
教科書(インド、中国他経済事情) アマルティア・セン、ジャン・ドレーズ、湊 一樹翻訳(2015)『開発なき成長の限界――現代インドの貧困・格差・社会的分断』、明石書店
教科書(2008), Crisis as Catalyst: Asia's Dynamic Political EconomyAndrew MacIntyre, T. J. Pempel, John RavenhillCornell University Press
教科書(2015)『アジア経済ハンドブック〈2015年版〉』神田 眞人財経詳報社
教科書(2015)『アジア経済史研究入門』、水島 司、 加藤 博、久保 亨、島田 竜登編著名古屋大学出版会
教科書(2015)『超大国・中国のゆくえ4 経済大国化の軋みとインパクト』丸川 知雄、 梶谷 懐東京大学出版会
教科書(2014)『現代インド経済―発展の淵源・軌跡・展望』柳澤 悠名古屋大学出版会
教科書(アジア地域に関する経済統合) (2015)『ASEAN経済統合の実態』浦田 秀次郎、可部 繁三郎、牛山 隆一 文眞堂
教科書 (2014)『ASEAN大市場統合と日本: TPP時代を日本企業が生き抜くには』深沢 淳一、助川 成也文眞堂
教科書(国際協力) (2014)『なぜ貧しい国はなくならないのか 正しい開発戦略を考える』、大塚啓二郎日本経済新聞出版社
教科書(2015)、『アジアの開発と地域統合 新しい国際協力を求めて』朽木 昭文、馬田 啓一、石川 幸一日本評論社
教科書 (2015)『これからの日本の国際協力 ビッグ・ドナーからスマート・ドナーへ』黒崎 卓、大塚啓二郎編著日本評論社
教科書(2010)『新版国旗と国名由来図典』辻原出窓社
教科書 二宮書店編集部(2017)『データブック オブ・ザ・ワールド2018』、二宮書店
教科書(2018)『図解 ASEANを読み解く 第2版: ASEANを理解するのに役立つ70のテーマ』みずほ総合研究所東洋経済新報社
教科書(2018)プラットフォームの経済学 機械は人と企業の未来をどう変える?アンドリュー・マカフィー、エリック・ブリニョルフソン (著), 村井 章子 (翻訳)日経BP社
参考文献

準備学修の内容

 アジア地域に関する新聞記事や、関心がる書籍を読み、知的好奇心を日頃から培って欲しい。

その他履修上の注意事項

 授業は講義形式で行うが、自主レポートの提出など積極的な授業への参加を歓迎する。一度も休まない意志を持つ学生の受講を期待する。
〇毎回課題を出すので、しっかりとやってくること(次週提出)。
〇内容が悪い課題は、再提出を求める。

授業内容

授業内容
第1回 ガイダンス:アジア地域の概要紹介
第2回 アジアの大国(I):資本主義を進める中国、インド
第3回 アジアの大国(II):資本主義を進める中国、インド
第4回 新興工業経済地域(NIES)の経済発展(I)
第5回 新興工業経済地域(NIES)の経済発展(II)
第6回 ASEAN概要と構成国の紹介(I):インドネシア、タイ
第7回 ASEAN概要と構成国の紹介(II):CLMV(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)
第8回 ASEAN概要と構成国の紹介(III):フィリピン、マレーシア
第9回 ASEAN概要と構成国の紹介(IV):シンガポール、ブルネイ
第10回 ASEANの経済発展:投資と貿易
第11回 ASEANの工業発展(I)現状、都市化、消費社会の形成
第12回 ASEAN経済統合とASEAN経済共同体の形成(I):創設、展望と課題
第13回 ASEANに進出する日系企業:国際ビジネスの協働
第14回 議論・意見交換:アジア経済の魅力と課題
第15回 まとめ