観光経済学Ⅰ
担当者小沢 健市
単位・開講先選択  2単位 [経済学科]
科目ナンバリングECT-205

授業の概要(ねらい)

 観光は産業ではないが,現代の観光は観光者と産業が密接なかかわりを持っていることも事実である.この講義は、観光と経済および経済学の関わりを詳細に説明すると同時に,観光者と観光関連企業・企業を経済学を適用し分析するための基礎を受講生に提供する.特jに,講義では受講生の基礎理論の完璧な習得とその観光分析への応用を詳述したい.それは,受講生が今後直面するであろう観光や経済問題に対する解決方法を習得することを可能させるからである.
 具体的な問題は観光の経済的側面にかかわる問題に限定されるが,理論の有用性、換言すれば、実学の意味とその内容を理解する手がかりをも提供することができる、と考えている。実学とは、ここでは、役に立つ理論を意味しているが、まさに観光経済学の基礎理論の習得によって、受講生は、実学としての観光経済学の基礎理論が現実問題の解決に役立つことを、身をもって学ぶことができると考えている。

授業の到達目標

 観光経済学の基礎理論の確実な習得と具体例を多数取り上げることによって,受講生の基礎力と問題・課題発見能力および問題解決能力を高めることがこの講義の到達目標である。

成績評価の方法および基準

 成績評価は、期中に実施する中間テストと期末試験の2点によって行うが、前者のウエイトは40パーセント、後者のウエイトは60パーセントである。ただし、成績評価は、15回の講義回数の三分の二以上の出席が必要条件である。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書シンクレア・スタブラー 観光の経済学シンクレア・スタブラー著(小沢健市監訳)学文社
参考文献『旅行・観光の経済学』
『観光経済学入門』
A.ブル著(諸江・小沢 他訳)
J.マック著(瀧口・藤井 監訳)
文化書房博文社
日本評論社

準備学修の内容

 授業の予習・復習を励行することが必要。予習・復習時間はそれぞれ1時間程度行うことが必要であるが,単に予習・複数するのではなく,テキストに出てくる重要な専門女御や理論をノート等に簡潔にまとめておくという作業が不可欠である.

その他履修上の注意事項

 この講義をより一層理解するために,受講生はミクロ経済学の講義を受講することが望ましい.

授業内容

授業内容
第1回 この講義のオリエンテーションと観光統計を利用した我が国の観光の現状の説明
第2回 観光経済学の範囲とその内容の平易な説明および観光研究の現状の簡単な説明
第3回 観光のミクロ経済学的基礎の平易な説明:観光需要と観光供給とは何を意味しているか.
第4回 観光財・サービスの需要と供給と数値例を用いた価格と取引量の同時決定
第5回 観光関連財・サービスの競争市場における取引:均衡均衡価格と取引量の計算
第6回 観光者はの観光財・サービスに対する需要は消費者としての観光者の合理的な行動によって決まる:観光者の効用最大化の説明
第7回 観光財・サービスの供給主体としての企業の合理的行動の説明:財・サービスの生産・供給には費用が必要
第8回 観光財・サービスの生産・供給の費用:経済学における費用概念の説明とその数値例を用いた計算例
第9回 観光関連産業の市場構造:完全競争市場、独占、寡占(複占),そして独占的競争市場における観光関連財・サービスの価格と取引量の決定の平易な説明
第10回 観光にかかわる多くの財・サービスの価格は差別化されている:価格の差別化の理論と具体例
第11回 観光関連財・サービスの二部料金制の平易な説明:ディズニーランドのジレンマとは
第12回 複数の観光関連財・サービスを一つの束(例えば,パッケージ旅行商品)として販売するバンドリングの説明:バンドリングの基礎理論とその具体例への適用
第13回 バンドリングが可能になるための条件の説明:バンドリングが可能なケースと不可能なケース
第14回 観光の国際的な側面の経済分析:国際観光の基礎理論の説明
第15回 本講義のまとめと期末試験のための準備