観光経済学Ⅱ
担当者小沢 健市
単位・開講先選択  2単位 [経済学科]
科目ナンバリングECT-206

授業の概要(ねらい)

 観光が成立するためにはさまざまな資源を観光者は利用する.これは国際観光においても真である.この講義では,観光に利用される資源そして観光によってもたらされる環境への種々の影響の経済学的分析,そして観光政策と国際観光に関して経済学的な分析を試みたい.換言すれば,この講義ではミクロ経済学と国際経済学,そして経済政策としての観光政策について,種々の事例を取り上げ,それらについて経済学的な説明を試みるということである.もちろん、これらの課題の経済学的な説明にはその基礎理論が必要であるが,それについても平易かつ簡潔に説明を行い,それに基づき,分析を行ということにしたい.

授業の到達目標

 この講義の目標は,観光の経済的側面として,資源や環境,そして国際観光の経済的側面,さらに観光政策は文化政策と考えられているが,むしろ経済政策の一部門として捉えるほうがその内容を捉えやすいということを,受講生に理解可能にさせることである.こうすることによって,観光というすそ野の広い,とらえどころがない問題や課題をよりよく受講生には理解できる,と考えている.

成績評価の方法および基準

 成績評価は、期中に行う中間テストと期末試験の2点によって行うが、前者のウエイトは40パーセント、後者のそれは60パーセントである.ただし、この授業の授業回数15回の三分の二以上の出席が成績評価の必要条件である.

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書テキストは用いないが、参考書を多用する.またプリントを講義時に配布するが,欠席者にプリントは、原則として、配布しない.
参考文献『観光の経済学』 シンクレア・スタブラー著(小沢健市監訳)学文社

準備学修の内容

 講義の予習・復習を1時間程度必ず励行すること,また単に予習・復習だけでなく,プリントや参考書を利用して関連の部分を各自がノート等に簡単にまとめるという作業の励行が必要である.

その他履修上の注意事項

 ミクロ経済学や国際経済学を受講することが望ましい.

授業内容

授業内容
第1回 講義に当たってのオリエンテーションと日本の国際観光の現状の説明
第2回 観光者はどのような資源を用いて(投入して)各自の観光目的を達成しようとしているのか:私的財・サービスや公共財およびその他の資源
第3回 観光資源としての公共財:公共財理論の基礎理論の説明とその観光への応用
第4回 観光開発や観光者の混雑により生じる外部性:外部性の経済理論の説明とその観光事象への応用
第5回 我が国でも実施され始めた観光税(宿泊税や出国税)の経済分析:観光への課税は誰のためか
第6回 国際観光は観光者による貿易である:なぜ貿易は行われるのか
第7回 伝統的貿易理論の説明:絶対優位・比較優位の説明と機会費用
第8回 これまでの講義のまとめと中間テストの実施
第9回 比較優位は機会費用の大小によって決まる:生産可能性フロンティアと機会費用の計算例
第10回 伝統的貿易理論によって観光も行われているのか:比較優位に基づく貿易
第11回 比較優位に基づく貿易は産業間貿易である:産業間貿易とは何か
第12回 新しい貿易理論と観光の関係:規模の経済と製品差別化
第13回 観光者はよく似た財・サービスを取引している:産業内貿易の実現と拡大傾向
第14回 観光政策への戦略的貿易政策の適用とその帰結
第15回 講義のまとめと期末試験の準備