西洋史籍講読1-Ⅳ
担当者
単位・開講先選択必修  2単位 [史学科]
科目ナンバリングHEA-402

授業の概要(ねらい)

 古代ローマとイタリア・ルネサンスに関わる古典を読む。
 キケロは古代ローマの政治家にして最大の弁論家で、彼の弁論作品は欧米における古典教養の中核をなし、今日でも一流政治家のお手本になっている。
 ダンテ『神曲』は中世ヨーロッパ最大の叙事詩で、古典古代の伝統とのつながりを鮮明に示すだけでなく、ダンテが生きた当時のフィレンツェやローマ教皇に対する厳しい政治的批判をも含んでいる。
 マキアヴェリ『君主論』は、権謀術数を意味するマキアヴェリズムで知られるが、中世の理想君主論を脱して冷徹な現実から出発し、イタリアにおける国家権力のあり方を模索している。学問としての政治学の誕生を告げる画期的な作品である。
 これらの古典作品を通して、人間と政治・社会のかかわりを当時の歴史的背景に照らして考察する。

授業の到達目標

 テキストの一字一句を厳密に読み、歴史的背景をふまえながら正確にその意味を理解できること
 提示された論点について自分なりの解釈をまとめ、討論し、発表ができること
 古典作品を読みながら、読む・書く・聴く・討論する・発表するという、日本語の基本的な運用能力を身につけること

成績評価の方法および基準

 予習課題の発表、およびグループ討論と全体発言における積極性による

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『マキアヴェッリと「君主論」』佐々木毅講談社学術文庫
参考文献

準備学修の内容

 次回の予習課題を必ずこなしてくること
 発声練習を自宅で毎日行うこと

その他履修上の注意事項

 授業の冒頭で発声練習を毎回行うので、声を出すのが嫌いな者は決して受講しないこと
 90分間ぼんやりしている暇はないので、集中力を切らさないこと

授業内容

授業内容
第1回夏休みの読書発表
第2回キケロ「カティリーナ弾劾」
第3回キケロ「弁論家について」
第4回ダンテとその時代・『神曲』入門
第5回『神曲』の読みどころとその魅力
第6回ダンテと古代詩人たち・オデュッセウスの人物像の革新
第7回『神曲』におけるフィレンツェ批判
第8回『神曲』におけるローマ教皇批判
第9回マキアヴェリとその時代
第10回武器なき預言者
第11回理想の君主:チェーザレ・ボルジア
第12回マキアヴェリの軍事改革と軍隊論
第13回マキアヴェリズムとは何か
第14回イタリア戦争と人間の運命
第15回「私のマキアヴェリ語録」発表会