担当者 | 辻 政博 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [初等教育学科 こども教育コース] | |
科目ナンバリング | ESS-207 |
図画工作科の授業は、小学校の教育課程の中で、次に示す目標を掲げ、位置付けられている。
表現及び鑑賞の活動を通して、造形的な見方・考え方を働かせ、生活や社会の中の形や色などと豊かに関わる資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1)対象や事象を捉える造形的な視点について自分の感覚や行為を通して理解するとともに、材料や用具を使い、表し方などを工夫して,創造的につくったり表したりすることができるようにする。
(2)造形的なよさや美しさ、表したいこと,表し方などについて考え、創造的に発想や構想をしたり、作品などに対する自分の見方や感じ方を深めたりすることができるようにする。
(3)つくりだす喜びを味わうとともに、感性を育み、楽しく豊かな生活を創造しようとする態度を養い、豊かな情操を培う。(『小学校学習指導要領解説 図画工作編』文部科学省、平成29年6月)
国立教育政策研究所の調査(2004年)でも、児童の80%が好きな教科であると調査結果が出ている。実際の授業の中でも、児童が自らの手と体で、材料や用具に触れながら、感じ、考え、想像し、表現しながら、思いを伝え合い、自分自身をつくりあげていく姿を見ることができる。
けれども、指導者が、図画工作に対する苦手意識や教師主導の教育方法などによって、児童が「つくりだす喜び」を味わう授業を実施できなければ、児童が本来もつ造形表現への興味関心や豊かな感性の育ちの可能性を閉ざしてしまうことになりかねない。
この授業では、児童の楽しい主体的な学びの場をつくっていくために、図画工作の授業について、その目的、内容、方法、歴史、図工教師のあり方、様々な美術教育、多様な造形表現などについて、実践事例をもとに学習しながら教科指導に関する理解を深めていく。
・図画工作科における基礎的な知識・技能を身に付ける。
・自分なりの造形表現や鑑賞活動ができるようにする。
・グループワークで議論を深め、発表できるようにする。
・学習内容を「ポートフォリオ」にまとめ、リフレクションしながら活動できるようにする。
①「ポートフォリオ」作成と提出。60%
・配布資料を適切に保管し読み、活用しているか。
・学習内容や活動を記録し明示しているか。
・学習内容や活動への自分の考察をワークシート等に書いて、まとめているか。
・学習内容や活動を、内容に合わせながら美的にデザインし、まとめているか。
②主体的な表現活動と鑑賞活動、及び、グループワークの話し合いと発表。20%
③授業への関心・意欲・態度。20%
…以上の観点から総合的に判断する。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 『小学校学習指導要領解説 図画工作編』H 29年6月 | (文部科学省) | |
参考文献 | 『文部科学省検定小学校図画工作教科書(H27年度版)』 | 代表著者:水島尚喜、阿部宏行、辻政博 | (日本文教出版社) |
参考文献 | 『わくわく図工室にいこう3』2017年 | 監修:辻政博、鈴石弘之、編集:美術手帖編集部等 | (美術出版エデュケーショナル) |
参考文献 | 『子どもの発想力と創造力が輝く 絵画・版画指導』2015年 | 監修:辻政博 | (ナツメ出版) |
○「ポートフォリオ」は、各自、写真等を印刷し、配布資料とともに、所定のスケッチブックに作成します。
○「ポートフォリオ」の作成は、毎回の授業ごとに振り返りながら作成してください。
○授業で紹介した「展覧会」「児童作品展」「造形教育関係の施設」などに足を運び、鑑賞したり、見学したりするなど、造形教育への見聞を高めてください。
○児童の気持ちや視線をもって授業を体験するとともに、習得した知識や技能を自分なら教育活動にどのように活用するかイメージしながら受講してください。
○グループでの話し合いを行ない、自分の考えを深める場面を設定します。積極的に話し合いに参加してください。さらに、その話し合いを基に発表します。
○進度や理解等によって、進行内容を変更する場合がありますので、留意ください。
回 | 授業内容 |
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第1回 | ・オリエンテーション(授業計画、評価、授業を受けるにあたっての留意事項など)。 |
第2回 | ・図画工作教育の意義、目的、特性について学ぶ。実践事例の紹介。 |
第3回 | ・図画工作の内容とその構造(題材、目的、領域、分野、共通事項、評価規準などの関連)について学ぶ。 |
第4回 | ・題材事例①「A表現 造形遊び」(材料、場所、操作、身体を生かした造形活動)について学ぶ。 |
第5回 | ・題材事例②「A表現 絵に表す」(イメージ、描画材、版表現など)について学ぶ。 |
第6回 | ・題材事例③「A表現 立体に表す」(粘土、自然材、人工材など)について学ぶ。 |
第7回 | ・題材事例④「A表現 工作に表す」(板材、道具の活用など)について学ぶ。 |
第8回 | ・題材事例⑤「B鑑賞」(遊びを通した鑑賞、対話式鑑賞、鑑賞と表現の一体化など)について学ぶ。 |
第9回 | ・児童の発達の段階と題材設定について学ぶ。 |
第10回 | ・日本の造形教育の歴史(戦後の造形教育運動を中心に)について学ぶ。 |
第11回 | ・様々な造形表現(世界の児童画、民族アート、アウトサイダー・アートなどの多様な表現)について学ぶ。 |
第12回 | ・図画工作の指導計画の作成①(学習指導案について理解し、題材を設定し、学習指導案を作成する)について学ぶ。 |
第13回 | ・図画工作の指導計画の作成②(年間カリキュラムを作成する。評価の方法について理解する)について学ぶ。 |
第14回 | ・個々の授業の振り返りと「ポートフォリオ」の作成。 |
第15回 | ・授業全体のまとめと「ポートフォリオ」の提出。 |