担当者 | 劉 洋 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [経済学科] | |
科目ナンバリング | ECP-320 |
1978年に始まった改革開放政策により中国経済は急速な成長を遂げて、現在では物品貿易量世界1位・GDP世界第2位の経済大国になっている。その一方、2010年代に入ってからその成長スピードが著しく低下し、いわゆる「経済の新常態(ニューノーマル)」段階、つまり高度成長から安定成長へ転換した。この高度成長の終焉にともなって、特に米中貿易摩擦がますます激化する中で、中国経済はやむを得ず、成長エンジンは内需に頼らなければならなくなった。しかし周知のように、中国特有の都市・農村二重社会構造の下で、都市と農村間の経済格差は依然として大きい。特に近年、都市部で消費需要が伸び悩みつつある中、いかに農民の収入を増やし、農村部の消費需要を引き挙げるのかは、これからの中国経済成長を左右するだけではなく、中国共産党と政府の政権運営に対しても決定的な課題であるとも言える。
本授業では、上述した中国経済発展の現状とそれを取巻く都市・農村二重社会構造を中心に、データを分析しながら部門別でその現状と課題を説明していく。特に二重社会構造問題の顕在化である農業・農村・農民いわゆる「三農問題」を重点として、その現状、政策、行方を詳しく分析する。現状の理解が目的で、そのためにたくさんの資料を用意し、実例を挙げながら授業を行う。
(1)中国経済の基本知識と発展現状を把握し、日中経済の関連性を理解すること。
(2)中国特殊的な都市・農村二重社会構造とその影響を理解し、簡単に説明できること。
(3)「三農問題」の現状とその解決が中国経済社会に対する意義を理解してもらうこと。
講義中に行う確認試験(30%、当日の授業内容を中心に)と期末レポート(50%)及び授業参加度(20%、授業中の態度、質問や発言等)を以て総合的に評価する。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 教科書は指定しないが、授業中資料を配布する | ||
参考文献 | 『中国経済入門 高度成長の終焉と安定成長への途』 | 南亮進・牧野文夫 | 日本評論社 |
参考文献 | 『中国経済論』 | 加藤弘之・上原一慶 | ミネルヴァ書房 |
参考文献 | 『WTO体制下の中国農業·農村問題』 | 田島俊雄・池上彰英 | 東京大学出版会 |
テレビやインターネットなどの中国経済に関する内容について関心を持つことと興味のあるテーマについて深く調べること。
授業中に行われる確認テストに必ず参加すること。
授業中の基本的なルール(勝手な私語・立ち歩き等迷惑行為の禁止等)を厳守すること。
回 | 授業内容 |
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第1回 | イントロダクション |
第2回 | 中国経済の転換点 |
第3回 | 「経済の新常態(ニューノーマル)」 |
第4回 | 中国における都市・農村二重社会構造の現実 |
第5回 | 戸籍制度と社会保障 |
第6回 | 土地制度と農業産業化 |
第7回 | 土地制度と不動産産業 |
第8回 | 人口制度の転換と労働市場の変化 |
第9回 | 農村過剰労働力の移転と工業化・都市化 |
第10回 | 都市・農村間の経済格差と経済成長の限界 |
第11回 | 農村部一二三次産業の融合的発展と新農村建設 |
第12回 | 持続可能な経済発展とエネルギー、環境問題 |
第13回 | 米中貿易摩擦と中国成長モデルの転換 |
第14回 | 日中経済協力の現状と直面している課題 |
第15回 | 中国経済成長の要因と課題の分析・総括・期末レポート |