担当者 | 濱田 陽教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [日本文化学科] | |
科目ナンバリング | PHE-102 |
現代において新たな文明のかたちを展望するには、生きものと自然への洞察力をもち、人間中心になりがちな近代以降の文明の発想を相対化する姿勢が欠かせない。この授業では、個性あふれる十二支動物を導き手として、生きとし生けるものの織りなす時空へと分け入り、列島に伝承された神話、物語、民俗、宗教などを科学、技術とともに考察し、現代文明がはらむ課題を考察していく。
未来へとつながる伝統文化、過去のものになりつつある近代文明、現在において語り直される物語。これら文化、文明の豊富な知識を学ぶなかで、文化の時空をめぐる思索の旅はいくつものクライマックスを経験するだろう。
新型コロナ・ウィルス拡散の状況下、人と生きものの関係を、時空や文化の根源から問い直すことの意義が高まっていると思われる。自然、生きもの、人、つくられたもの、人知を超えるものの、五つの存在の関係を浮かび上がらせつつ、時空、文化、文明についてさらに深く考察していきたい。
*本科目の春期科目である近代思想Ⅰを履修し合格した者は、秋期も引き続き履修可能である。それ以外の者については、履修希望者数により抽選を実施することがある。
思想への多様な視座を養い、講義内容をふまえて自身の思考を展開し、内容の深い考察をまとめる思考力、文章表現力を身につける。
授業参加、期末レポートにより総合評価
*期末レポートのテーマは最終講義日2週間前に発表予定
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 『日本十二支考 文化の時空を生きる』(2017年1月刊) 秋期は本書の後半を中心に学ぶ。 | 濱田陽 | 中央公論新社 |
教科書 | |||
参考文献 |
教科書に沿って進むため、次回授業で扱う予定の箇所を通読しておくこと。一回の授業で平均15ページ分ほど進むことを目安とする。
授業中に教科書中の着目すべき箇所を自分の判断でマークし、主体的に気づいたことや考えをメモするなど(教科書に書き込んでもポストイットなどを用いてもよい)、時間をかけて一歩一歩理解を深めていって欲しい。
「7.各回の授業内容」には教科書各章が割り振られているが、章によって分量の差があるため、じっさいの授業進行はある程度前後することを前提としてほしい。
回 | 授業内容 |
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第1回 | 兎の存在を通じ思想的課題の諸相について考察する(第二部第四章) |
第2回 | 龍の存在を通じ思想的課題の諸相について考察する(第二部第五章) |
第3回 | 蛇の存在を通じ思想的課題の諸相について考察する(第二部第六章) |
第4回 | 馬の存在を通じ思想的課題の諸相について考察する(第二部第七章) |
第5回 | 羊の存在を通じ思想的課題の諸相について考察する(第二部第八章) |
第6回 | 猿の存在を通じ思想的課題の諸相について考察する(第二部第九章) |
第7回 | 鶏の存在を通じ思想的課題の諸相について考察する(第二部第十章) |
第8回 | 犬の存在を通じ思想的課題の諸相について考察する(第二部第十一章) |
第9回 | 猪の存在を通じ思想的課題の諸相について考察する(第二部第十二章) |
第10回 | 十二支のもつ世界認識の意義と可能性について学ぶ(第三部第一章) |
第11回 | 南方熊楠の思想の可能性を中心に生きものや世界の文化とつながる方法について学ぶ(第三部第二章) |
第12回 | 文化学の意義について学ぶ(第三部第三章) |
第13回 | 超越性という概念をオットー、エリアーデ、西田幾多郎の思想を参考に学ぶ(第三部第四章) |
第14回 | ヴィトゲンシュタインの自然観を参考に季節の変化に秘められた意味について学ぶ(第三部第五章) |
第15回 | まとめ、期末レポートのテーマについて解説 |