経済史概論Ⅰ
担当者廣田  功
単位・開講先選択必修  2単位 [経済学科]
科目ナンバリングECH-101

授業の概要(ねらい)

 この授業は、今日の世界の経済活動の中心にある市場経済あるいは資本主義というシステムの成立・発展・変容に焦点をおく。このシステムは人類の長い経済生活の歴史の特定の段階において形成された歴史的存在である。市場経済・資本主義のシステムが、どのような歴史的条件の中で形成され、その後今日に至るまでどのように発展し、変容をとげてきたかについて明らかにすることがこの授業の主たる目的である。その際、同じ市場経済・資本主義のシステムでありながら、国や地域によって多様な形態をとることに留意し、時代や国の違いに対応した制度や政策の異同に重点をおいて説明する。なお経済史概論Iでは、主に中世後期からイギリス産業革命の開始までの時代を扱い、経済史概論IIでは、19世紀初頭から20世紀初頭までを扱う。
学生の主体的学びを促すために、講義の進行に合わせ、適宜文献等を使って調査・学習する課題を出し、それに基づいて報告・発表させ、討論をおこなう。

授業の到達目標

 今日の私たちの社会経済生活の基盤である市場経済システムが歴史的にどのように成立し、今日どんな段階にあるかを知り、また同じ市場経済システムが多様性を持っていることを理解する。これによって経済現象を歴史的に見る眼を養い、今日の複雑な国際経済について深く知る眼と能力を獲得することができる。また、今日当然視されていることも、かつてはそうではなかったことを知り、物事を歴史的・複眼的に見る能力を修得出来るようになる。カリキュラムポリシーと関連付けていえば、これらの能力を身につけることによって、とくに日本と世界の経済や企業経営に関する基礎的な知識を歴史的現実に即して修得できること、日本と世界の経済や企業経営の諸問題に歴史的な観点を活かして取り組む能力を修得できること、さらに問題解決に取り組むための広く深い教養を修得できることが目標となる。

成績評価の方法および基準

 平常点:40%(出席状況、課題への取り組み、発表、討議への貢献度)
 定期試験の成績:60%

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『エレメンタル欧米経済史』  馬場哲・山本通・廣田功・須藤功晃洋書房
参考文献『ライブ・経済史入門』小田中直樹勁草書房
参考文献『産業革命』長谷川貴彦山川出版社
参考文献『日本の産業革命』石井寛治講談社学術文庫
参考文献『近代世界の誕生』上下巻ベイリ箸、平田雅博他訳名古屋大学出版会
参考文献『世界史の中の産業革命』R.C.アレン著、眞嶋史叙他訳名古屋大学出版会

準備学修の内容

 講義の進行に合わせ各学期2回の課題(春学期は、「中世商業におけるスパイス貿易」と「プロト工業化の影響」)を出すので、図書館で参考書等を活用して調べ、レポートに作成し提出すること。

その他履修上の注意事項

 この講義は、「西洋経済史」、「日本経済史」、「経営史」、「経済思想史」、「ヨーロッパ経済論」の基礎・前提となる科目です。この講義の履修後、是非これらの講義も履修してください。

授業内容

授業内容
第1回 経済史概論Iの課題
第2回 封建社会の経済の構造と特徴
第3回 中世都市とギルド
第4回 中世商業の展開と特徴
第5回 封建社会の動揺と領主制の危機
第6回 封建社会の動揺と市場経済
第7回 プロト工業化と市場経済
第8回 16・17世紀のヨーロッパ経済
第9回 イギリス絶対王政と重商主義
第10回 イギリス産業革命の前提条件
第11回 18世紀イギリスの人口・家族・産業
第12回 イギリス産業革命の展開とその帰結
第13回 フランスの絶対王政とフランス革命
第14回 ドイツの上からの近代化
第15回 まとめと定期試験