人間学基礎セミナーⅠ
担当者冲永 隆子教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [総合基礎科目]
科目ナンバリングSEM-201

授業の概要(ねらい)

 人間学とは人間にかかわる学であり、「哲学、言語学、心理学、精神病理学、宗教学、芸術学、教育学、社会学、文化人類学、歴史学、人文地理学など、様々な分野にわたっている」(「序―人間学への案内」作田啓一ほか編『人間学命題集』新曜社、1988)。
 この授業では、いのちをめぐる倫理学(生命倫理・バイオエシックス)の視座から、視聴覚教材(主にNHK番組)を使って、人間にかかわる様々な倫理的、社会的問題について共に考えていく。
 具体的には、①生命倫理・医療報道を題材にした発表演習や「哲学対話」、②外部講師(ジャーナリストNHK専門委員)によるメディアリテラシー(番組の読み解き)の講義、ノンフィクション作家による講演(日程は未定)③レポート・感想文・卒業論文の作成、発表(プレゼンテーション)実践に対する基本的な指導も併せて行う。
 以下の幅広い生命倫理の問題・テーマを扱う。生と死(障害者殺傷事件、安楽死、出生前診断…)、セクシュアリティ(女性差別「ジェンダー論」、セクシャルマイノリティLGBT、生殖医療…)等。
 このセミナーでは参加者全員の討論が中心になってくる。意欲ある皆さんの受講を期待している。
*予定するテーマ及びビデオ内容は授業の進捗状況により変更する場合がある。

授業の到達目標

 ①受講者は、人間学や生命倫理学に関連するキーワード(KW)について正しく説明することができること。
 ②グループ討論や発表演習によって、他人の意見と比較し、自分の見解を他に示すことが可能になること。大学卒業後、様々な社会で活躍する皆に役立つための思考訓練の場としての活用が可能になること。

成績評価の方法および基準

 授業内のプレゼンテーション(発表)やVTR感想文40%、最終授業時に提出してもらうレポート60%。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書
参考文献『いまを生きるための倫理学』 盛永・松島・小出編丸善

準備学修の内容

 ①指定した教科書および配布資料コピーの次回授業部分を事前に読んでおくこと。
 ②授業時間内にVTR感想文(10行程度)を提出できなかった人は、感想文を仕上げて、次回に持ってくること。
 ③発表にあたった人は必要に応じて配布資料を用意しておくこと。

その他履修上の注意事項

 ①毎回授業に配布資料、購入テキスト、ノートなどを持参すること。
 ②この授業ではセミナー形式に基づく、発表演習の場であり、それに向けて、数回、視聴覚教材を用いてグループ発表・討論を行うため、極力欠席・遅刻は控えること。
 ③この授業は、春期(人間学基礎セミナーⅠ)・秋期(人間学基礎セミナーⅡ)の半期のみの受講に対応できるように考慮している。「ライフサイエンスⅠ・Ⅱ」とも関連している。

授業内容

授業内容
第1回はじめに―授業の進め方や評価方法などの説明。人間学・生命倫理学、「哲学対話」等についての序論。
ヴィクトール・エミール・フランクルの『夜と霧』『それでも人生にイエスと言う』ナチズムと生命倫理
第2回「生命倫理」概論『いまを生きるための倫理学』生命操作・医療のテーマ2
最近の医療報道「公立福生病院の透析中止問題に対する冲永のコメント(毎日新聞)」
対話・討論
第3回「生命倫理」概論『いまを生きるための倫理学』生命操作・医療のテーマ1
最近の医療報道「5つ子妊娠・減胎手術後流産訴訟に対する冲永のコメント(共同通信)」
対話・討論
第4回「生命倫理」概論『いまを生きるための倫理学』生命操作・医療のテーマ3
最近の医療報道「厚労省の「人生会議」ポスター炎上問題に対する冲永のコメント(週刊金曜日)」
IAHR「Taboo of contemplating dying: Difficulties in introducing Advance Care Planning to Japan 」
対話・討論 
第5回NHK「ETV特集~それはホロコーストのリハーサルだった~障害者虐殺70年目の真実」(2015) 
ダッハウ強制収容所リポート『医学と福音』(冲永)  対話・討論1
第6回NHK「ETV特集~それはホロコーストのリハーサルだった~障害者虐殺70年目の真実」(2015) 
対話・討論2
第7回TBS「ゆがんだ正義 相模原事件」(2018) 京都アニメ事件や相模原事件から見えてくる危険な兆候。それは「匿名報道」。二つの事件から国民の知る権利や表現の自由を考える ➡外部講師による講義
第8回NHKスペシャル「彼女は安楽死を選んだ」、宮下洋一『安楽死を遂げた日本人』(小学館2019)対話・討論1 
第9回NHKスペシャル「彼女は安楽死を選んだ」、宮下洋一『安楽死を遂げた日本人』(小学館2019)対話・討論2 
第10回ジェンダー教育『いまを生きるための倫理学』(156頁)セクハラ、女性差別問題
(上野千鶴子の東大学部入学式祝辞…)対話・討論
第11回性と結婚『いまを生きるための倫理学』(300頁)キリスト教的家庭観は生命倫理の性の倫理に適用可能か?(LGBTの息子の代理出産を引き受ける母…)対話・討論
第12回坂詰真吾『「身体を売る彼女たち」の事情―自立と依存の性風俗』(ちくま新書2018)対話
第13回河合香織『選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子』(文藝春秋2018)対話 
第14回生・性・死のダイアローグ 外部講師(未定)との全体討論1
第15回生・性・死のダイアローグ 外部講師(未定)との全体討論2