担当者 | 木村 哲也 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [外国語研究科 超域文化専攻] | |
科目ナンバリング |
近代日本の言語政策の確立は,日清戦争後の台湾領有に伴う「本島人」(台湾の人々)に対する国語(=日本語)教育の必要性が認識されることによって推進された.日本の言語政策確立のため,「国語」としての日本語教育が展開されるようになった.「国語教育」の黎明期,その教育目的の内実を明らかにする.そして,戦前・戦後,近・現代における日本語教育の連続・非連続性を,戦前の資料・文献を読み解くことによって考察していく.
上記の考察を起点に,今日,日本の社会的課題である,外国人住民との共生,特に外国人児童生徒への教育が,公教育における国語教育そして言語教育とどう関わるのか理解する.21世紀における「ことばの教育」のあるべき姿について,多文化共生,言語的公共空間の共生,対話的能動性を,授業全体のキーワードとして考えていく.
本年度は「21世紀型スキル」「学習科学」としての,アクティブ・ラーニングや言語力向上のためのことばの教育やインクルーシブ教育の推進等,教育再生実行会議や中央教育審議会の教育改革の内容に焦点を当てて,日本語教育の役割や意義を見出していく.貧困と学力格差とことばの教育という課題も視野に入れ,日本語教育,言語教育の在り方に新たな展望を学生と共に切り拓いていく.
日本人に対する国語や外国語教育も含め,日本の言語教育の在り方は,今日,抜本的な改革が求められている.また,外国人児童生徒に対する日本語教育の充実や,日本人に対する,言語として「国語」や「外国語」を教えることの意義の確認は,コミュニケーション能力や学習言語能力の育成という観点を中心に,今日の小・中・高等学校教育における教員養成上の,最重要課題となっている.
学生は,日本語を含め言語教育の方法論を学び哲学し,言語教育実践に新たな方向性を打ち出すための学術的な基礎力を身に付ける.そして,21世紀における言語教育,日本語教育の在り方を論述しかつその考えを実践していくための能力を身に付ける.
・平常点:授業への能動的参加-40%:講義内容に対する学生各自の課題意識を明確に提示し,その課題に関する解決策を考察したプレゼンテーションを行う.
・学期末レポート-60%:学生各自のテーマに対して真摯な論考を行い,指示するレポート・論文の書き方に基づき,その論考結果の提出を求める.
参考文献,授業内で配付または紹介する資料を精読.その要旨をまとめ報告する.
1)自己教育能力,主体形成,相互承認の3つの視点を重視し,修得した学問的知識を社会的実践へとつなげる研究姿勢を持ってもらいたい.
2)多文化共生の社会基盤の形成に貢献する言語教育,あるいは言語能力とは何かを考え,そこにある課題を解決するための研究活動を行うこと.
3)授業への主体的・協働的参加を望む.
回 | 授業内容 |
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第1回 | 授業内容・キーワード オリエンテーション:授業全体の内容や進め方と評価方法の説明 |
第2回 | 明治期の言語状況(1):三宅米吉,日本の多言語状況(講義及びグループ・ディスカッション) |
第3回 | 明治期の言語状況(2):井上哲次郎,内地雑居論(講義及びグループ・ディスカッション) |
第4回 | 明治期の言語状況(3):上田萬年,台湾領有,言文一致の考え(講義及びグループ・ディスカッション) |
第5回 | 大正期の国語政策:大槻文彦の口語法,口語法別記(講義及びグループ・ディスカッション) |
第6回 | 昭和期の国語政策:方言撲滅と時枝誠記の国語(講義及びグループ・ディスカッション) |
第7回 | 平成期の国語政策:第19~22期国語審議会,共通語,標準語,地域語(講義及びグループ・ディスカッション) |
第8回 | 言語学の可能性と限界(1):言語学の「言語」とは何か(講義及びグループ・ディスカッション) |
第9回 | 言語学の可能性と限界(2):科学としての言語学(講義及びグループ・ディスカッション) |
第10回 | 21世紀の言語教育(1):文化相対主義とことばの教育(講義及びグループ・ディスカッション) |
第11回 | 21世紀の言語教育(2):複言語・複文化主義とことばの教育(講義及びグループ・ディスカッション) |
第12回 | 21世紀の言語教育(3):社会構成主義とことばの教育(講義及びグループ・ディスカッション) |
第13回 | M.トマセロの「ことば」(1):ことばを「つくる」とは何か(講義及びグループ・ディスカッション) |
第14回 | M.トマセロの「ことば」(2):建設的相互作用とことばの教育(講義及びグループ・ディスカッション) |
第15回 | 秋学期授業の振り返りとまとめ+学期末レポートの提出 |